活動報告
10月12日 家族会
・アパートで一人暮らしをしている息子は、1年半近くひきこもっている。母親は「ひき
こもっているだけで、楽しいこともなくてかわいそう」と思っている。
↓
本人はひきこもっている中で、案外楽しいことを見つけたりしているかも。まわりが
勝手に決めつけない。「正社員として働くこと」が人として一番素晴らしいこと、やらな
ければいけないこと、ではない。自分が幸せかどうかは自分で決めていい。本人の心の
中は他人には、本当にはわからない。
・同居している息子は、ここ何か月かはテンションが高い状態だったが、最近は沈んで
いる。訪問看護もB型事業所の人が会いに来るのも、断ってしまった。誰にも会いたく
ない心持ちだという。
母親も色々な勉強会に参加したり、家にも息子関係の人たちが来るしで、少し疲れて
いたところだった。
↓
二人とも、今は休憩の時間と考えて、ゆっくり気を落ち着けよう。気分の浮き沈みに
ついては、息子・自分もどのくらいの期間で変化があるのか、記録しておくと、対策を
たてやすい。
・一人暮らしをしている息子は、最近は、誰にも会わない明け方にゴミ出しをしている。
自分で自転車に乗り、買い物にも行っている。障害年金の更新がもうすぐなので、
医者についてきてほしいと、母親にお願いしてくる。
↓
とにかく、息子に対して何かをするのはやめよう。母親の膝が悪化し手術することに
なり、車に乗れなくなったから、「ゴミ出しも買い物もできない」と伝えたら、息子は
自分でやるようになった。どんなことも同じ。「かわいそうだから手助け」していたら
何もしない人になってしまう。息子のできることを増やそう。そのためには、親が
動くのはダメ。
★この文章を書きながら、最近目にした言葉を思い出しました。
「全く失敗しない人はどんな人か」
「何もしない人」
怖い言葉だと思いました。
・同居している息子は、最近とても明るく「ここ10年の間で一番調子がいい」と言って
いる。カウンセリングやデイサービスもやりたいと言っている。母親が用事でいない
時は、ご飯も作ってくれる。だったら、せっかくなので、食材費も渡して、献立も任せ、
毎週1,2回作ってもらうようにしてはどうだろう。
「捨てたい衝動」は続いていて、母親の箪笥を捨てたがったり、自分の免許証、お薬手帳
などは、実際に捨ててしまった。
家中に貼ってあるガムテープは、あいかわらず、絶対にはずしたくないようだ。
通院は月に一度、母親と行っている。自分一人では行けない。
↓
母親は息子の通院日に合わせて自分の予定を変更しているが、それはやめよう。息子が
「付いて行ってもらう側」なので、母親の都合を聞き、予約したり、変更したりを自分で
やろう。何でも自分でやらせよう。親は自分の時間を大切にしよう。

9月14日 家族会
・アパートで一人暮らしをしている息子は、B型事業所で働いていたが、昨年の4月から
再びひきこもりになり、1年半が過ぎた。現在、所属しているオレンジの施設の職員が
「生存確認」のために、1か月に一度、アパートを訪ねてくれているが、半年に一回
会えるかどうかということだ。母親とラインは繋がっていて、母親の家を訪ねたいという
連絡が時々来るが、外に出ることはできない。通院はなんとかできている。オレンジの
職員には入院を勧められているが、息子を説得するのは難しそうだ。
息子の貯金がもうすぐ底を突くので、そのとき息子がどう動くのか、または動かないの
か、見極めてからでもいいのかと母親は思っている。
・同居している息子はずっと「家の主」のようにふるまっている。
①お盆に娘(息子にとっては姉)が帰ってくる予定だったが、息子はダメだと言った。
そして「姉の態度を注意してほしいこと、自分を無視しないこと、姉は籍を抜いた
のだから年に何回も帰ってきてほしくないこと」を母親に伝えてきた。
②母親が、父親の体調を気遣って料理を作ったのを見て、息子は「なぜ家にある材料で
作らずにわざわざ買い物に行くの!」と言ってきた。
③祖父が、時々、息子のために、お菓子を買うが、それに対して文句を言ったり、注文を
つけたりする。
④母親は、月に二回、習い事に行くが「いくらかかるのか」「僕にひとこと言ってからに
しろ」と言う。息子は、自分の欲しいものは、どんどん買っている。
⑤暑くても、全ての部屋のエアコンを付けない。
↓
今住んでいる家は、父親の家。自分が主になりたかったら、一人暮らしをすればいい、
と伝えよう。伝えるときは、感情的にならずに冷静に。
一人暮らしだと、自分の好きなようにできて、とても快適に過ごせることも伝えよう。
息子が「ずっとこの家にいたい」と言うのなら、障害年金の中から、家にお金を
入れさせよう。そして、父と母に文句、命令をしてはいけないと伝えよう。
「父母が伝えたいこと」「一人暮らしの場合と家で両親と暮らす場合の違い」を紙に
わかりやすく書いて息子に見せよう。話すだけでは伝わりにくいので、紙に箇条書き
をしよう。視覚化は有効な手段。
一人暮らしをさせる時には、親がお膳立てするのではなく、第三者に頼ろう。そういう
ときこそ、社会資源を使い倒そう。
・息子は、障害年金が通帳に貯まっていくのが楽しみなようだ。しかし、それはよくない。
貯めるためにもらうのではなく、外出したり、幸せを感じられるために使うもの。
同居している場合は、自分のご飯代、電気代等、考えて、家にお金を入れよう。

8月10日 家族会
・母親は、もともと色々な公的機関と繋がっていたが、最近は、訪問看護やB型事業所の
人が自宅に来ることが増えてきた。同居の息子は、自宅での内職に興味をもち
始め、担当の人と会うことになった。
訪問してくれる医者は、精神だけではなく、身体も診てくれるので、息子は安定して
きている。最近は、親と話すより、訪問看護の人と話す方が多くなってきた。
↓
第三者と関わることが大事なので、とてもよいことだ。
人の出入りが増えてきて、母親は疲れてきたので、色々な公的機関との繋がりをやめる
ことにしたという。これも、よいことだ。
・一人暮らしをしている息子から「エアコンの水漏れ修理用の道具を、ホームセンターで
買って、持ってきて」と連絡があった。息子は、業者に連絡するのも、来てもらうのも
嫌だ、と言うので、母親は買い物をして持って行った。
↓
何でも自分でやらせよう。今のままだと、全く外に出なくても生活できて、とても楽。
この状態だと、息子は何もしない。動かない。
母親は、今秋、右膝の手術をするので、暫くの間、車の運転ができなくなる。これを良
い機会と捉えて、食べ物の買い出しも息子にやらせよう。
「膝に負担がかかるし、痛いし、重い物は持てないし、買い物もできない」と言おう。
息子は自転車に乗るようなので、少しくらい遠い距離への買い物にも行ける。
行かせよう。
母親が何もかもしてはいけない。資格試験も受け続けているが、受験料を母親が出す
のはやめよう。自分で出させよう。
・一人暮らしの息子から「段ボールの片づけを手伝ってほしい」と連絡がきた。母親が
アパートに行ったら、伸ばしっぱなしだった髪の毛が、さっぱりとした坊主頭になって
いた。お風呂にも入っているようだ。
オレンジの会の施設には行けないようだが、床屋や買い物には行けているようだ。

7月13日 家族会
・同居している息子の精神障害年金の更新が迫ってきていたが、ここ何か月かは、息子
は通院していなかった。しかし、更新に必要な診断書を書いてもらうためには、医者
に診てもらうことが必要。母親は心配していたが、息子は病院に行った。
・アパートで一人暮らしをしている息子の精神障害年金の更新が、今月末だと思ってい
た母親が、息子に「ねんきんネットで確認して更新月ならば手続きして」と伝えた
が、息子からは返事がなかった。焦った母親は、自分で年金事務所に確認し、今年で
はなく、1年後だとわかった。この先、母親が亡くなった場合、更新を忘れずにでき
るのか心配だ。
↓
もしも更新できなくて「収入が無し」になったら、区役所の福祉課や、繋がっている
NPO法人等に「助け」を求めるよう、息子に伝えておこう。
親が永遠に生き続けて、手助けしてくれるわけではない。困ったら、身内ではない
第三者、主に公的な機関に助けを求めよう。それが、本当の自立だ。
・同居している息子は、毎週、訪問看護に来てもらっている。月2回は、医者も来てく
れる。息子は、医者や看護師とも、薬や病気についてよく話しており、治療も進んで
いる。B型事業所のことも、上手に話してくれるので、息子は興味を持てたようだ。
父親にも、何を話したのか伝えている。訪問看護の前日は、入浴もしている。
↓
とても良い感じで進んでいる。息子にとって信頼できる人たちのようだ。息子のこと
はまかせて、この機会に更に、親は親で楽しみを見つけ、出かけよう。親が、自分の
人生を楽しむことは、明るい背中を見せることができ、息子にとって、大切なことだ。
・同居している息子は、自分の寝起きしている2階の部屋から、どんどん家具を1階に
放り出している。自分の持ち物も整理している。
↓
息子は「何かを始めたい」と思って動いているのかもしれない。「生活保護」にも興味
があるのであれば、特に制度については正しく知るために、親の知識で説明するので
はなく「市役所で詳しく話を聞こう」と勧めよう。息子が前に進めるように、親は
上手く対応しよう。

6月8日 家族会
《今回もまず「今年度の目標」について》
・「息子の思いの先回りをしないこと」&「料理をしっかり作ること」
息子がダイエット食の宅配をやめてしまったので、母親は息子の身体にもよい料理を
しっかり作ろうと思っている。
・「自宅のゴミ出し」&「一人暮らしの息子の家のゴミ出し」をやめる。
自宅のゴミは夫に出させる。息子の家のゴミは息子に出させる。
・「息子との対話を心掛ける」&「息子の先回りをしない」
《いつもの家族会》
・一人暮らしの息子が久しぶりに実家に来たが、ずっとイライラしていて、母親にあたっ
てばかりだった。
↓
イライラしたことは、家族にではなく、通院している医者に言おう、ということを
息子に伝えよう。
・同居している息子は、週一回訪問看護を受けている。1か月に一回、医者も訪問して
くれる。精神のことだけではなく、血液検査もしてくれる。
相談役の人も紹介してもらったので、入院・A型事業所・B型事業所についても相談
できる。
先日の訪問看護の前には、息子はお風呂に入っていた。息子は、訪問看護師の人たちに
気をゆるし始めているようだ。
・一人暮らしの息子が実家に来るときは、「自分ルール」を押し付けてくるので、母親は
苦痛を感じている。
その「自分ルール」とは「父母の物に触りたくないからどけておいて」「おふろの湯は
僕が入るときは入れ替えて」「アルコール消毒を用意して」などだ。
↓
実家は「父親のもの」だから、実家のルールを守ってもらおう。「父母の物に触るのが
嫌」はおかしいので通常のままにしておく。必要なものは自分で持ってくればよい。
息子が「迎えに来て」と連絡してきても、母親は迎えに行かないでおこう。実家に来た
いなら、自分で来るように伝えよう。

5月11日 家族会
《今回はまず、それぞれの「今年度の目標」を発表した》
・人を恨まない、羨ましがらない。
全て自分で選んだのだから、人のせいではない。恨み、うらやむ心をぐるぐるさせて
いると、ストレスフルになってしまう。
↓
良いことも悪いことも受け入れよう。今の自分で人生を楽しもう。
・先回りしない。
何かをするのなら、息子にきいてからにする。息子がやってほしいかも、と勝手に
思わない。
・健康で生活を楽しむために、色々我慢しない。
息子のためにたくさんのことを我慢していたが、これからはやりたいことをやる。
・間食をやめる。
犬の散歩のために、早起きをして食べていた習慣だけが残ってしまっていた。このまま
1日4食ではよくないので、きちんとした食生活に戻す。
《いつもの家族会》
・息子は最近は毛布をかぶり、ひきこもっている。息子と買い物に行くと、いつも「死」
という文字が入った本を買うようになった。
息子が通院している病院は、グループホームが併設されていて、ショートステイや
一人暮らしの練習ができる。
↓
息子に、まずはショートステイから体験してもらったらいいのでは。「母親の体調が悪
い」などの理由をつけて、行ってもらおう。
・同居している息子と、結婚して家を出た娘が喧嘩になった。
↓
親は、息子の発達障害について、娘に話そう。そして、息子に話が通じなくても仕方が
ないことを伝えよう。
・同居している息子と、出産後に家に泊まりに来た娘が喧嘩になった。リビングに娘一家
が寝泊まりしているので、息子はストレスがたまったようだ。口喧嘩から、娘が息子の
身体を少し押したので、息子は「傷害罪だ」と言い、警察を呼んだ。警察は息子を
上手くなだめて帰っていったが、1週間泊まる予定だった娘は、翌日、帰ってしまった。
↓
息子にとっては、「ここは自分の家」という考えのようだ。喧嘩の中で娘に言った「この
家の住人に対して敬意を示せ。なぜ感謝しないのか」という言葉は、そっくりそのまま
両親が息子に言ってもいい言葉。家は両親のものだし、両親は孫に会いたいし。
だったら、息子は一人自由に過ごせる一人暮らしをすればよい。一人暮らしのメリット
を、息子に話してみよう。

4月20日 家族会
まず、3月23日に名古屋サンスカイルームで行われた講演会「これからのひきこもり
支援」~障害・貧困・孤立など様々な困難に立ち向かうための支援とは~に参加した
感想を話し合いました。
・新たに策定された「ひきこもり支援ハンドブック」のことは知らなかった。
・10年前とは「ひきこもり」についての考え方が全く違う。
・「侵襲性」と言う言葉を初めて聞いた。
本人やその家族が、自ら社会との関係を拒絶し、ひきこもり状態にある場合や、
生きる意欲を失い、自ら健康を維持することを放棄してしまうといったセルフ
ネグレクトの場合は、訪問や声かけをとおして関わりを持つことが求められます。
しかし、その関わり自体が「侵襲性が高い(相手にとって負担が大きい)」という
ことを理解し、状況を見極めて対応することが求められます。ひきこもりながらも、
生き続けていくために関わり「あなたに生きていてほしい」という思いを持って
伴走していく姿勢が重要です。
ひきこもり支援において目指すべき姿は、一人ひとりの背景や心情をとらえずに
社会参加や就労のみを求めることではなく、本人のペースに合わせながら、本人や
その家族が、自らの意思により、自身が目指す生き方や、社会との関わり方等を
決めていくことができるようになること(自立ではなく自律)。この「自律」とは、
自己を律すること、社会に適応するといったとらえ方ではなく、本人の尊厳や主体
性、自尊感情を回復する意味であり、その自律に向けたプロセスを本人と支援者が
共有しながら一歩ずつ進むことを目指すものです。自律の形は一人ひとり違うもの
であり、決まったものではありません(家族は本人の自律を支える役割ではなく、
家族も自律することが望ましいといえます)。※ひきこもり支援ハンドブックより
<いつもの家族会>
・最近、同居している息子が張り切っていたから、両親は期待したが、現在は落ち込んで
いる状態だ。しかし、医者から訪問看護を勧められてOKしたのは良いことだ。血液検査
もやってもらえるということだ。今後始まるであろう「親の介護」についても、息子は
医者に相談した。
・一人暮らしをしている息子の体調が悪い。しこりがあるということで、心配しているが
病院に行きたくないらしい。精神科の通院はしている。
↓
精神科の先生に相談して、紹介状を書いてもらい、「早く行ったほうがいい」と先生か
ら伝えてもらおう。
・同居している息子は、母親と一緒に半年に一度通院している。母親は毎月通院している。
最近行った血液検査の結果は正常値だった。以前は食べなかった野菜や豆も食べるよう
になった。自分の使ったお皿も洗うようになったが、できないことも多い。
↓
発達障害者には「可視化」が必要。わかりやすく紙に書いて置いておくなどしよう。

2月9日 家族会
・同居している息子は、両親の旅行に付いていくようになった。息子は、そういう時は
体調を整えることができる。しかし、帰ってきたら、またひきこもる生活。
母親は「B型事業所に通ってみる?」と聞いてみたが、息子は「家にいるのがいい」と
言った。 ↓
まずは「B型事業所の見学をしよう」と誘ってみよう。実家が好きなら、アパートは借り
ずに、実家から通おう。旅行に行くための準備ができるのなら、目的があれば動けるの
ではないか。息子はB型事業所について「いやだ」とは言っていないということなので、
見学を勧めよう。まずは、B型事業所の職員と母親が話し、そのあと、息子に話を
しよう。
・同居している息子は、毎日仕事に行っている。ここ最近は疲れているようで、作って
くれていた夜ご飯を作れない状況だ。息子の給料が入金される通帳は、父親が管理
している。欲しいものは、父親のクレジットカードで買っている。
↓
通帳は息子に渡し、親のクレジットカードを使わせないように。自分の欲しいものは
自分の通帳から引き出して使おう。「使ったらお金は減る」という当たり前のことを
実感させよう。
・父親の希望で、一人暮らしの息子が、お正月に帰省した。しかし、父親と息子は話さ
なかった。お互いに嫌い合っているようだ。
↓
息子が一人暮らしできるのは、父親の持っている「お金」のおかげ。単純に「父嫌い」
と言って無視はよくない。母親がまず、父親(夫)に感謝を示そう。
・一人暮らしをしている息子が、欲しいものをメールして、母親が買って運んでいる。
息子の通帳は、母親が管理している。
↓
息子の欲しいものを買い、息子の所まで運ぶ、ということを、ずっと続けるのは大変
だし、いつまでも続けられるものではない。買い物のお金は、息子の通帳からもらうと
いうことだが、通帳を息子に渡して、自分で管理させよう。母親は、体調もよくない
ということなので、息子の所に行くのはやめよう。母親が来てくれなくなったら、自分
でお金を引き出し、自分で買い物に行くしかなくなる。
・アパートで一人暮らしをしている息子は、昨年の4月からB型事業所に通わなくなった。
ほとんど外出しなくなってほぼ1年になるので、息子、母親、B型事業所の職員2人と
面談した。母親との待ち合わせには何時間も遅れてくるのに、この面談には時間通りに
来た。息子は「専門学校で手に職を付けたい」と、ここ最近は言い続けている。しかし
オープンキャンパスに申し込んだり、願書を取り寄せたり、ということはできない。
B型事業所にも通いたくない、と言っている。
面談では「今年の12月までは、自分で色々考えてみよう。オープンキャンパスに行っ
てもいいし、行かなくてもいいし。やっぱりお金が欲しいからB型事業所で働く、
でもいいし。だれも何も強制しない。
でも、もし、助けが必要な時は、B型事業所に連絡をしてもいいし。初動は勇気も
いるから、専門学校への連絡の時は一緒にいてほしい、と頼るのも有り。
今年、動けても動けなくても、いい。でも、12月になったら、今後の動き方を、また、
一緒に考えるために、面談しよう」ということになった。
・同居している息子は、週一の訪問看護は、嫌だと言いながらも母親と二人で受けている。
しかし本人は何も話さない。通院は、父母2人で行く予定だったが、本人が直前に
「行く」と言ったので、母親と2人で行った。
家の中では会話がないが、ある日、息子が「鶏肉買ってきて」と言ったので、母親は
「欲しかったら自分で買ってきて」と伝えたが、つい気を遣ってしまい、鶏肉を
買ってきた。息子は真夜中に、寝ている母親に「買ってきたでしょ。」と言いに来た。
また、ある日。息子は3時間くらい話し続けた。その内容は・・・
①窓枠に貼ったガムテープは剝がさないで。きちんと貼ったら、悪い空気が入って
こないから。でも、本当は悪い空気なんてどうでもいい。これまで、僕のお願いを
聞いてくれなかった。だから、ガムテープのことは聞いて。
②このままこの家に住みたい。お母さんが言う「将来ひとりで住むための練習としての
アパート暮らしはやりたくない。今、将来のことを考えても仕方がない。
③お父さんは痛風の薬を飲んでいて、命にかかわるものなので、レベル2。
僕は統合失調症だけど、命にかかわらないので、レベル1。
普通の人はレベル0。
④お父さんもお母さんもおかしい。
↓
話を何時間も聞き続けるのは疲れるし、辛い。感情的にもなるし。
息子に振り回されないようにしよう。
「父も母も、あなたの言うように、おかしいから、あなたの話はわからない。」と
言おう。「訪問看護の人に、話をしてみよう。」と言おう。

1月13日 家族会
・アパートで一人暮らしをしている息子に対して、母親が「お正月はうちに来て泊まる
よね」と決めつけた言い方をしていたが、来年からはやめようと思う。来る側の息子も
来られる側の母親も、一緒にいるととても疲れるからだ。疲れることをわざわざやらな
くてもよい。一般的には「新年は身内全員集まって過ごすもの」という感覚かもしれな
いが、発達障害者にとっては、普段の生活とルーティーンが変わることで苦しく感じる
かも。現に、今年うちに来た息子は、玄関で1時間立ったまま固まってしまい、リビン
グに入ってこれなかった。
↓
「普通はこうだから」という考え方はやめよう。苦しいこと、辛いことは、やる必要が
ない。
・同居している息子に、本人の妹の結婚、出産を伝えた。その妹が赤ちゃんと2人で
1か月滞在したとき、息子は壁を殴ったりせず、静かだった。赤ちゃんと対面はしたが、
表情は硬かった。妹と赤ちゃんが帰った後は、また、壁を殴っている。気を遣っていた
ようだ。
病院には行きたがらないが、血液検査の結果も出ることだし、行ってくれると良いと
母親は思っている。なかなか主治医と話せないようなら、受診の前に、本人に気持ちを
紙に書かせてみよう。そして、本人の承諾を得て、主治医に見せよう。
・同居している息子は、最近、靴、服を買ったが、今度は運転用と普段用の眼鏡を買った。
父母の毎週の喫茶店通いにも付いてくるようになった。年末の紅白歌合戦も3人で見て
おせちを食べた。お正月の旅行も3人で行った。
↓
行動頻度が高まったことは嬉しく、3人も楽しいが、いつもだと疲れてしまうのであれ
ば、たまには「夫婦2人で行くね」と出掛けるのもよい。疲れることはしなくてよい。
・同居している息子が、母親に質問した。
「このまま同居を続けるのと、名古屋でアパートを借りてオレンジの会に通うのと、
どっちがいいか。」
母親は「オレンジの会に通うのがいいね」と答えた。
↓
アパートを借りるのもいいが、実家からオレンジの会(B型事業所)に通うことも考え
てみよう。本人が望む無理のない方法から始めるとよい。
・同居している息子の妹が、里帰り出産の予定だったが、「息子の不安定さ」が気になり、
帰ってこなかった。息子に赤ちゃんの写真を見せたが、無反応だった。今後の帰省のこ
とを考えると、母親は、息子が赤ちゃんの泣き声に異常に反応しないか心配している。 ↓
アイパッドで、赤ちゃんの泣いている動画を送ってもらい、その反応を見よう。
・同居している息子は、自分で電話をして受診をキャンセルし、処方された薬も飲まない。
なぜキャンセルしたのか、なぜ行きたくないのか、本人に紙に書いてもらおう。それを
主治医に見せよう。予約日をキャンセルするのはいいが、その電話をした時には必ず
「変更という形で次の受診日の予約を取るルール」であると、主治医から本人に伝えて
もらおう。訪問看護についても、なぜ看護師と話さないのか、理由を書いてもらおう。
「通院の必要がない」と思うなら、自分で医者に言わなければいけないと話そう。
・母親「鍋洗ってくれて、ありがとう」
息子「洗いたいから、洗っただけ」
母親はこの会話の後、「こにくたらしい」と思ってしまった。確かにイラッとするかも
しれないが、同じステージに立ってはダメ。母親も「私も、ありがたいと思ったから
ありがとうと言っただけ」などと対応しよう。
↓
こういう会話、行動、思ったことは全てメモしよう。そして、母親自身が楽しいと思え
る人生を送るにはどうすればいいか考えよう。息子を変えるのではなく、自分を自然体
に戻していこう。そのためには、息子と距離を置くことを考えよう。お互いにイライラ
したり、疲れるのはよくない。息子にも「今の暮らしは楽しいか」問いかけよう。楽し
く感じていないなら理想とする生活を語ってもらおう。そして、その生活に近づけるた
めには何から始めるといいかを一緒に考え、親として協力できることをピックアップし
て本人に伝える。ひとりで暮らすことも考えさせよう。お金のことが一番心配だと思う
が、障害者手帳もあり、障害年金も受給しているので、福祉サービスを利用しての一人
暮らしは可能だ。

12月8日 家族会
・一人暮らしをしている息子が通院しているクリニックに、母親も通っている。一か月に
一回きちんと通っていると聞いて安心した。医者にかかっていないと、障害者手帳も
障害年金も更新できない、福祉乗車券もなくなる、ということがわかっているようだ。
・同居している息子は、普段はYouTubeを見たり、コンビニに行ったりしている。障害年金
を自分でおろして使っている。
↓
本人に「記帳したほうがいいこと」「手数料のかからない所でおろすこと」を教えよう。
年金から、スマホ代、食費は払ってもらおう。本人に毎月かかっているお金を、きちん
とした数字で見せよう。
・同居している息子は、訪問看護は受けているが、デイケアには行けていない。薬に関し
ては、「不安になったら飲む」ようだ。医者は「飲んだり飲まなかったりするのは、
よくないので、量を少なくするよ」と言っている。
薬の量のことだけでなく、どういう方針でいくのかは、本人を交えて決めよう。
・一人暮らしをしている息子の血液検査の結果がよくない。本人は落ち込んでいる。動い
ていないし、好き勝手なことをしているからかな、と思っているようだ。母親も、息子
は生活を変えないといけないと思っている。良い機会だと思い、オレンジの会のことも
話した。
↓
息子の生活を本気で改善したいのなら、母親は何にもやらないようにしよう。息子が
「今住んでいる一軒家は古いし寒い」と言うのなら「アパートへ引っ越す」ようにすす
めよう。障害年金を受給し自由に使っている、母親の実家に住んでいて家賃・水光熱費
も掛からない、食べ物も母親が買ってきてくれる、ネットでカード購入した際、本人の
通帳を管理している母が、購入金額と残高を確認し、不足している場合には本人に声掛
けもせず入金している、という状況では、息子は動かない。とても快適だから。母親は、
お金も手も出してはいけない。
・両親が2週間の旅行から帰った後、息子が少し変わった。
イオンについてくるようになった。
犬と一緒に3人で散歩するようになった。
上着も買った。
「福井に行こう」と両親を誘い、運転もしてくれた。
次は東京に3人で行くことになった。運転は息子がしてくれるという。
2週間、ひとりで生活できたので、自信をもてたのかもしれない。
★ずっと息子のことだけ考えて、成人している息子の世話をするのはやめよう。世話を
し続けることで、本人の自立を遅らせてしまう可能性もある。親は自分の生活、好き
なことを大切にしよう。子どものことは、手もお金も出さずに静かに見守ろう。

11月4日 家族会
・アパートで一人暮らしをしている息子は、B型事業所に通っていたが、なかなか外に
出られなくなってしまった。引きこもりがちになってからは、「資格を取りたい」
「学校に通いたい」と言い出した。母親は、学校に通いたいなら
①自分でオープンキャンパスに申し込んで実際に見学する。
②入学金・授業料をどうするのか考える。
③どこに住むのか考える。
④毎日規則正しい生活を送れるようにする。そのためにはB型事業所に毎日通える
ようにする。
⑤医者に通う。
ということを伝えた。
↓
親が率先して動いたり、お金を渡してはいけない。考えさせないといけない。
・10月中旬から2週間、両親は旅行に行った。同居している息子の体調があまりよく
なく、息子にも「僕の調子が悪いのに行くの?」と言われたが、「こういう時こそ
行くべき」と考えた。親の旅行中、息子はわからないことがあると、メールできいて
きた。したことのない洗濯もやっていた。朝のパンと牛乳がなくなったら、宅配を
頼んでいた。ダイエットをしているので、余計なものも食べないようにしていたらしい。
↓
この旅行で、母親は「ふっきれた感じ」がしたという。息子も「自己管理」ができてい
た。わからないことがあれば自分から質問するとか、自分の病気についての対処の仕方
とか、「家にひとり」にならないとわからないことを自分一人で考えて動けたのは
すばらしい。
お互いにそれほど心配することもなく、それぞれが楽しく過ごせたのはとてもよいこと。
息子は、もし、この先、親が亡くなった後も「誰かに聞く」ということができるはず。
家族以外の誰か、それは医者でも、行政でも、オレンジの会でもいい。誰かに頼ること
こそが「自立」である。
息子の「自立」を感じ取れ安心した両親は、元気なうちに今後もどんどん旅行に出掛け
ようと考えている。特に父親は、既に次の旅行の準備を始めている。
親は、子どものことだけを見ているのではなく、自分の人生を生きよう。
息子は、旅行後、母親とともに、イオンで中学校以来初めて、靴を買った。「靴」を
買ったということは、「動きたい」のかもしれない。

10月13日 家族会
・母の実家で一人暮らししている息子は、最近よく考えこんでいる。薬は飲んでいる。
司法書士の勉強よりも絵を描くことに力を入れているが、絵の世界では上には上がいて
自分はまだまだだし、など、ぐるぐると考えているようだ。クリニックでは、息子は
そのことを医者に話している。母親も同じクリニックに通っているので、母親は医者と
具体的な話をしよう。
①司法書士の資格を取る意味があるのか。(きちんと勉強している様子がない)
②資格が取れたとして、その資格を使って働けるのか。
以上のことを、母親が言えないのなら、医者から息子に伝えてもらおう。
息子とは、「絵を描くことは収入につながるのか、趣味でやるのか」「この生活は
いつまでもできないこと」について話そう。
↓
ただし、司法書士の試験を受け続けるのもやめるのも、決定するのは息子本人である。
しかし、現在勉強をしっかりやっているわけでもないし、受験費用、生活費、身の回り
の世話は、母親がしている状況なので、母親は、試験を受ける期限を決めよう。
(例えば、あと一回だけなど)
そして、試験に落ちたら、次のステップをどうするか、具体的に紙に書き出そう。
具体的な内容とは
「母親の実家に住み続ける場合、お金がいくらかかるか」である。(固定資産税、光熱
水費、等)もちろん、母親が払ってはいけない。既に住んでいる今から自分で払っても
らおう。受給している障害年金から払ってもらうことも可能。目に見えて所持金が減っ
ていくことを実感させ、困り感を持たせることも大切。困らないと、息子は動かない。
親の死後、今の生活が続けられないことに不安を覚えるのなら、障害者基幹相談支援セ
ンターと繋がり、福祉サービスを利用して収入を得る、という選択肢もある。
・同居している息子は、最近デイケアに行っていないが、訪問看護は再開した。母親と
息子と一緒に受けている。息子は、訪問看護は「ストレス」だと言っている。家に人が
来るのが嫌ということで、母親にも「やめよう」と言ってくるが、母親は「私自身は
話すことでストレスが発散できていい」と思っている。
↓
デイケアを休む場合は、休む旨伝える電話を本人にさせよう。何事も社会勉強である。
・息子は、以前から、家の窓にガムテープを貼っているが、その上に更にガムテープを
貼っていることがある。薬に関しては、飲んだり飲まなかったり、「治ったから飲むの
やめた」と言ってみたり、ころころと言うことが変わる。
↓
薬については、1日毎にメモして、それを医者に見せよう。ガムテープについても
状況をメモしよう。できれば、本人に日記のようにメモしてもらい、医者に自分で見せ
る、ということができると良い。自分で見返して、客観視できるかもしれない。
・一人暮らしをしている息子は、B型事業所に毎日通っていたが、半年ほど前から、あまり
行けなくなった。収入が激減して、障害年金に頼るしかないので、かなりお金に
困っているとは思うが、母親はお金を渡さないと決めている。お金をあげてしまったら
B型事業所に通わなくなってしまうだろう、と思うからだ。困らせないといけない。
困れば、なんとかしようと自分で考える。自分で考えて行動できる人になってほしい。
自分の息子だから、と世話をしてしまう(抱え込む)と、共依存になってしまう。それ
だけは避けたいと思っている。

9月8日 家族会
・同居している息子が、自分の気に入ったYouTubeを観せてきたり、新しいカタカナ語を
母親に教え、「勉強になったでしょ」と言ってくる。息子と話をすることを大事に思っ
てはいるが、嫌だと思うことや教えられることが苦しいときもある。
↓
母親は、嫌な場合は、「眠い」「明日早い」「年をとったから、頭に入れることが無理
なこともある」とはっきり言おう。息子は、YouTube、アニメ、車について、話したい
ことがたくさんあるようなので、そういう話を共有できる場所を探し、行ってもらおう。
・母親は最近「話を聞いてあげる」という上から目線から「心から聞く」という心もち
に自分がなってきたと感じている。その影響なのか、息子は、挨拶や冗談を言うように
なってきた。息子を信じられるようになり、父母は、愛犬も連れて2週間の長旅に行く
ことにした。
↓
息子の食事を用意していかないように。困ったら自分で買いに行くはず。父母からは
電話もしないように。息子のことは心から信じ、自分たちがまず人生を楽しもう。
・一人暮らしをしている息子は、B型事業所に通っていたが、今年の4月から、また、
あまり外出できなくなった。「僕は障害者じゃない」「薬は嫌」と言っている。
↓
母親は「嫌なら通院しなければいい」と言おう。「そのかわり、障害年金も障害者手帳
も更新できなくなる。今の生活が続けられないよ。どうすればいいのかな。」というこ
とを自分で考えさせよう。
・家のトイレが詰まってしまった。いつもなら、父親が直すが、その時父親はメニエール
病で動けなかったので、息子が直した。
↓
父親が病気になったのは辛いことだが、誰も動く人がいないと、自分が何とかしようと
息子が考えるようになる。親は息子に何でもやらせよう。
・同居している息子は、障害者枠での仕事に毎日通っている。2週間の夏休みの間に
昼夜逆転したが、休み明けにはいつもの生活に戻った。月一回、母親とともに通院
している。マッチングアプリは続けており、時々会う約束をしている。
↓
息子の生活が安定してきたのなら、何か家の中での役割を与えよう。父母が「ありがた
い」と思えることをやってもらおう。家の中のちょっとした仕事は、外での仕事に
とても役立つ。
・同居している息子とは、ウオーキング中に色々話をしている。「実家の母(90歳)は
いまだに大昔のことを愚痴っているよ」という話をした。母親としては「昔の恨みを
いつまでも残していてはいけない」と考えてほしいと思い、話した。息子は黙って
聞いていた。
・グループホームの見学に息子は行きたがらないが、母親だけでも先に見学に行こう。
いつまでに入居させたいかの期限を決め、グループホーム側に伝えよう。
・息子は障害年金を受給しているが、将来のために国民年金も納付し続けたいと、母親
は思っている。その場合、障害年金が振り込まれる口座から、国民年金の引き落としを
したいと考えている。
↓
受給した障害年金から国民年金を納付するのは不自然。そして、息子名義の口座なので、
本人の意思確認が必要。

8月18日 家族会
・今年度の「母親と息子の目標」である「ダイエット」は、医師からの栄養指導を受け
ながら行っており、順調である。母親は「息子のためにとにかく沢山ご飯を作ろう、
という思いが、かえって太らせてしまった原因だったかも」と思っている。
ダイエットはうまくいっているが、「中学時代からの靴を履き続けているので、災害に
備えて新しい靴を買わせたい」「定期的には息子が受診に行けておらず、母が代理受診
することもあり、将来のことを考えて訪問看護を受けさせたいが、息子はしぶっている」
「障害者手帳の更新を親が行っている」の3つが、現在思案中のことである。
↓
自分でやれることは、やらせよう。嫌がる場合は、理由をきこう。母親と息子が「話が
できる状態」になってきているので、きちんと聞いてみよう。
・母親の実家で一人暮らしをしている息子は、毎年司法書士試験を受け続けており、年々
点数が良くはなってきていると言っているが中々合格には至らない。勉強も頑張ってい
ると言うが、アニメが好きで、パソコンでイラストを描いて販売もしている。本音は、
イラストの仕事をしたいと思っているのかもしれない。
↓
随分長い間、試験を受け続けているので、「次回で最後の受験」と区切りをつけさせよ
う。母親が、息子の所に週に何回も通い、世話をして、息子は「勉強があるから」と
家事を一切しないというのは「おかしいことだ」と、きちんと母親自身が認めよう。
息子には「勉強・イラスト描き以外の時間」で、家事&収入を得ることについて、
考えさせよう。親は、お金も手も出さず自立できるように導こう。
・同居している息子は、仕事を続けている。その仕事先の健康診断用に自宅で検便採取
しようとしたが、うまくいかず、父親に「自動で流れるトイレでは、どうすればいいか」
と聞いてきた。
最近NISAを始めた。
マッチングアプリに登録し、今までに3人と会った。デート代は本人が仕事で得たお金
を使っている。
↓
「わからないことは、いつも親がなんとかしてくれる」と思ってしまうと、自分で考えな
いようになる。どんなに些細なことでも、本人に調べさせたり、考えさせたりしよう。
マッチングアプリについても、引き続き、かかるお金は全て自分の給料から出させよう。
NISAを始めたということは、財産の管理に興味を持ち始めたということなので、この機
会に、相続の話をしよう。
・同居している息子は、中学時代の話を持ち出し、父親に非を認めさせようとしたので、
父親は息子を落ち着かせるために一旦、外へ出たが、息子はいきなり警察を呼んだので
ビックリしたが母親が応対し、本人が障害者だということも話した。
↓
「ここに、こういう人物がいる」ということを地元の警察に知っておいてもらえたと
捉え、今回本人が警察を呼んでくれて、かえって良かったと思おう。暴力的なことが起
こった場合は、すぐに警察に連絡しよう。そこから、入院・治療につながる。
・同居している息子は、毎週一回、母親の実家に一緒に行くのを楽しみにしている。
自宅ではお手伝いとして、風呂掃除をやってもらっている。
↓
家族の中で自宅に居る時間が一番長い本人に、将来的な自立の練習として、いっそのこ
と徐々に家事すべてを任せるのもよい。難しそうなら、確実にできる方法を具体的にわ
かりやすく母と息子で考えて可視化し、やらせてみよう。やったり、やらなかったり、
ということなら、親はよく観察して記録しよう。その記録をもとに、息子と話し合おう。
・息子の主治医が女性に変わるので、母親は少し心配である。
↓
不安なら、息子とは別に、母親個人で診察券を作り、診察してもらおう。そして、思っ
ていることを伝えよう。言いにくいことこそ、伝えよう。案外それが、一番自分の言い
たいこと、という場合がある。

7月14日 家族会
・母の実家で一人暮らしをしている息子は、いつまでそこに住み続けることができるのか。
相続はどうするのか。本人に財産があると行政の支援が受けられないことがある。
↓
いつまで住むのか期限を決めて、アパートに移ってもらうことを考えよう。
・同居している息子は、通院していない。本人は、親亡き後、一人暮らしになったら、
ごみ屋敷になるかもしれないと心配し、持ち家である今の家の処分を望んでいる。
↓
母親は父親ときちんと話し合い、両親としての意見をまとめ、「家の処分・医療機関に
通うメリット」について先延ばしにしないで「いつまでに本人と話し合いをするか」を
決めよう。医療機関に通うメリットはたくさんある。障害者手帳を申請し取得できれば、
様々な福祉サービスを利用できる。就労継続支援事業所に通所し作業をすると収入も得
られる。障害年金受給申請をし受給できると、自立した生活も無理ではない。
・同居している息子と母親は、一緒にウオーキングをしている。時々、息子一人で外出し
ているが、どこに行っているかわからず、心配である。
↓
母親の今年度の目標である「グループホームの見学に息子と行く」を早めに達成できる
よう、本人と話そう。そして、相談支援事業所に相談しよう。
・同居している息子は、母親の後ばかり追っている。
↓
母親のストレスになっているのなら、息子に何か家事をやらせよう。母親の「手伝い」
ではなく、「母親がやらないこと・できないこと」を、本人の仕事としてやらせよう。
・同居している息子は、訪問看護に来てもらっているが、「やめたい」と言い出した。
担当者は、また連絡してくれるそうだ。
↓
本人の意向、やりたいと言ったことを文字で残しておき、その時と違うことを言い出し
た際には、文字を見せて本人に確認しよう。
・同居している息子は、相談支援員と面会予定がある。親としては、早めに手を放すた
めに、「息子が一人暮らしをするためのアパートを探して、借りるために必要なこと」
について、相談支援員と話したい。
・両親は、息子に精神科病棟への入院を考えている。
↓
入院の意義、退院後についてを具体的に考え、親の信念にゆらぎがないかを見極めよう。
・今年度の、母親と息子の目標である「ダイエット」は続いている。このまま順調にすす
むよう、お互いに無理せず頑張ろうと思う。息子は月一回通院しているが、今後は
訪問看護にできると良いと考えている。難病も抱えているので、グループホームに入居
できるか調べてみようと思っている。
同居しているので、光熱費など諸々の支出は親の貯蓄から出しているが、その振り込み
は息子がしているので、生活するのにどれくらいお金が必要か、おおよその把握はでき
ているはず。
↓
両親亡き後の生活について、特に、家の処分、墓じまいについて、息子と話し合い、
期限を決めて、整理していこう。

6月16日 家族会
・同居している息子は、ハローワークで見つけた職場に毎日通っている。仕事にも慣れて、
自信がついたらしく、「婚活したい」と言って、マッチングアプリに登録した。今度
実際に会う約束もした。息子は、親のクレジットカードを使って登録し、費用はその
カードから引き落としされる。
↓
仕事をし収入もあり、本人名義のクレジットカードも所有しているとのことなので、親
のクレジットカードは使えないようにしよう。それでもし怒り出すようなら、「なぜ怒
るのか」理由を聞こう。怒るということは、はっきりとした意思表示なので怒らせてよ
い。そしてそれを機会に、息子に仕事をする意味や将来目標を聞いてみよう。
・息子が「コンタクトレンズにしたい」「レーシックの手術をしたい」と言い出したので
母親と一緒に眼科へ行った。
↓
親が付いていくのは、やめよう。やりたいのなら、自分で予約し、ひとりで行き、費用
も自分で払おう。
・息子は6月初めに通院し、咳払いできないこと、歩き方がものすごくゆっくりになった
ことを伝えたら、主治医が薬を変えてくれた。しかし、食欲が増すかも、と言われた。
その後、ものすごく食べるようになり、一週間で5キロ増えた。心配だ。
↓
食べさせていいのか、止めるのか、疑問は、主治医に聞くべき。
・息子が、相談支援員さんに「B型事業所に行きたい」と言い、その後体験に行った。来週
から週一回行く予定だ。
↓
親ではなく、第三者に相談できたのは良いことだ。
・息子は、相談支援員さんの紹介で、グループホームの二泊三日体験に行ったが、一時間
で帰りたいと言い、ホームから電話があったので母親が迎えに行った。「息子は、人が
いない時間帯のホームに行ったから、つまらなかったかも」と母親は考えている。
↓
母親は「なぜ、すぐに帰りたくなったのか」の疑問があるなら、その場でホームの職員
さんに聞こう。息子が相談支援員さんから「昼間はホームに利用者がいない。」と説明
されていたか、確かめよう。何事も中途半端にならないように、親も情報を集めたり、
わからないことはどんどん聞こう。そうしないと、何度も同じことの繰り返しになる。
本人が「二泊三日体験やる」と言ったのなら、やりきらせよう。
息子に「いつまでにどうなっていてほしいか」の将来像を、親がきちんと持たなければ
いけない。信念が必要だ。
・同居している息子が「痩せる!」と言い出したので、糖質抜きのお弁当、お菓子もパン
も糖質オフのものにした。そのおかげで、たった1ヶ月で、親子共々2㎏も減量できた。
↓
難病も患っているので、医者に、正しい栄養管理(食生活)方法を聞いた方がいい。
・息子が、糖質オフの「食費」のことを気にし始めた。
↓
息子は「投資している」ということなので、プラスになった時には、食費を出してもら
うのはどうか。
・息子から20年ぶりに「母の日」のプレゼントをもらった。お風呂掃除もするように
なった。アニメの話もたくさんしてくれる。息子の変化は、「毎日15分話す」という
今年の目標を、母親が実践しているからだ。具体的な目標を立てるのはよいことだ。
・県の社会福祉協議会に、息子のこれからについて、相談したい。
↓
親が死んだ後にやってほしいことを、具体的に細かく考えて書き出し、何をやってもら
えるのかをしっかり確認しよう。目的によって異なる相談先も紹介してもらおう。
・特に持ち家(分譲マンションも含む)の場合、親亡き後のことを家族全員で真剣に話し合っ
て考えておこう。精神障害者は、自分一人で持ち家を管理し続けることが難しい場合が
多い。親が元気なうちに、相続、家の処分等について司法書士に相談し、決めておこう。

5月12日 家族会
《 今日は今年度の目標をたてました 》
・65歳になるまでの1年間、終活を進める。親が亡くなった時に、子どもが困らないよ
うに、自分の身辺整理をする。財産管理(相続)については、司法書士に相談し、書類を
作成する段取りを整えている。
・子どもと自分、それぞれ1年間で2キロ体重を減らす。息子の体重がかなりあるので、
母親も一緒に頑張ることにした。
・自分に自信をもつために、行政書士の問題を一日一問解く。
↓
「司法書士の資格取得のために勉強している」と言い、ずっとひきこもっている息子を
増長させてしまいかねない目標かもしれない。具体的に「一緒に勉強を頑張り、あと1
回、親子で受験し、不合格だったら、資格取得をあきらめる」と、期限を決めよう。
・自分の経験と思い出作りを大切にする。お金の貯め方ではなく、使い方を考えたい。
息子に残すという考えはせず、自分に投資し、自分の財産は使い果たすと決めた。
・自分軸をしっかりもつ。他の人の言葉にぶれることなく、自分はどうしたいのかと問い
ただし、自分の頭で考える。
・子どものわがままを見極める。何でも言うことを聞くのではなく、ただのわがままか、
本当に困っているのか、よく話を聞く。
・自分が「楽に生きる」ためには、どうすればいいか考える。まずは、子どもに(支援を
受けつつ)自立してもらう。
・息子と話をする。息子の気持ちを聞き、自分の気持ちも話す。
・先回りしない。世話を焼かない。
《 いつもの家族会 》
・同居している息子には、結婚して家を出た妹がいる。親と息子が住んでいる家は、持ち
家だが、両親亡き後に、その家をどうするのか、遺産をどうするのか、公的書類を準備
しておこう。
↓
兄妹の争いを避けるためにもなる。また、息子は本当にその家で、ひとりで生活してい
けるのか、考えよう。税金の支払い、家や庭の管理、近所付き合い、町内会、ごみ出し、
公的書類の管理など、細々としたことすべてを、ひとりできちんとこなせるか、息子と
話してみよう。
・自宅でひきこもっている息子は、医者にもかからず、収入もない。最近は物を壊したり
することもある。車を持っているが、維持費は親が出している。
↓
社会資源を使おう。第三者を介入させるべきだ。まずは、市の福祉機関に相談し、親
からではなく、公的機関の人から、障害者手帳・障害年金について教えてもらい、医療
機関に通うメリットなどを説明してもらおう。将来的に生活保護の説明を受けてもよい。
そして、車は手放そう。手放したくないなら、車の維持費全てを賄える分だけでも収入
を得る工夫(障害年金受給も考慮)をしよう。

4月21日(日)
《今回はまず、3月に栄で行われた「ひきこもり支援講演会」に出席した感想を話し
合いました》
・テーマは「見守り」でしたが、「策がないから見守ろう」ということが多いのではない
か。
・「見守りの時期」なのか「積極的に声掛けの時期」なのか、見極めが大切。
・「自立してほしい」と言いながら、いざ子どもが飛び立とうとすると、足を引っ張る
親が多い。
・「会社で仕事をして自立」ではなく、まず、家の中でできることをやってもらう”家の
中での自立”を目指すのが良い。
・小グループトークでは、家族会で情報を得たり、学んでいることがとても有益なのだと
感じた。
《家族会》
・一人暮らしをしている息子は、司法書士の試験の勉強があるからと、母親に何でもやっ
てもらっているし、受験料も出してもらっている。
↓
親は、息子に目標があると、安心して援助してしまうが、資格試験をいつまで受けるの
か期限を決め、受験料も自分で出させよう。
・同居している息子は「グループホームに入りたい」「B型事業所をやめて入院する」
「やっぱりいや」と、コロコロ気持ちが変わり、親は落ち着かない。結局、任意入院
したが、帰りたいと言い出し、医療保護での閉鎖病棟入院となった。それにより自由が
なくなったことで、息子は主治医と喧嘩した。入院前から通院していた皮膚科へ薬を
もらいに行くために母親が車で病院へ迎えに行き受診したが、病院に戻りたくない息子
は受診後、母親の車に乗ることなく歩いて帰宅してしまった。入院前よりも息子の様子
が悪くなっているように感じた母親は心配になり、病院の治療法に対して不信感を抱き、
父親に相談し父親も同感したことから、親が退院させてしまった。
↓
息子が攻撃的な言葉を言ったり顔つきが鋭くなると、薬が強すぎるのでは、入院はよく
ないのではないか等、親は心配だらけになるが、不安に思うことがあるなら、その気持
ちの全てを主治医に話そう。そして説明してもらおう。セカンドオピニオンを考えるの
は、その後でもよい。
・同居している息子は、最近メンタルクリニックに行かないので、母親が行っている。
会話のない息子にノートを一冊買って、「お母さんに見せなくていいから、色々書くと
いいよ」と言い、息子に渡した。そのノートが廊下に開いた状態で伏せて置いてあった
ので、「見てほしいのかな」と思い、母親が見たら「死にたい」と書いてあった。心配
になり「お母さんは、あなたにことを大切に思っているよ」と声掛けをした。
↓
母親はノートを勝手に見てしまったが、それは良くない。「ノートを見てほしいときは
○○に置いておいてね」とあらかじめ伝えよう。
・「一日15分話を聞く」ということを目標にしてきた。昨日は1時間息子の話を聞いた。
昔のことや、春は式典が多いから落ち込むこと、アニメが好きなこと、など、話してく
れるようになった。
↓
母親の聞く姿勢が息子に伝わってきている。
・A型事業所に通う息子は3月に、「このままだと、周りの人を殴りそう」と母に電話をし
てきて、その日に所長に「やめる」と言い、A型事業所をやめて帰宅した。周りとうまく
いかないことが多くあったようだ。息子はA型事業所在籍中から就活をしており、不採用
が続いていたが、やめたタイミングで採用された所があり、4月から障害者枠での仕事
を始めた。
↓
親はお金も手も出さず、家の中でも自分の事は全て自分でやらせよう。
★「自立」「責任」について、最近よく考えていたら、こんな文章に出合いました。
「自立」は「独立」ではなく「支え合い」として捉える必要があります。いざ、病気
や事故や災害などによって、独力では生きていけなくなった時に、他人との支え合いの
ネットワークをいつでも使える用意ができているということ。それが「自立」の本当の
意味なのです。「支え合い」のネットワークであるからには、自分もまた、支える側に
回る用意がないといけません。つまり「誰かの代わりに」という意識です。これが
おそらくは「責任を負う」ということの本来の意味でしょう。「責任」というのは
最後まで独りで負わねばならないものではありませんし、何か失敗したときにばかり
問われるものでもありません。「責任」とはむしろ、訴えや呼びかけに応じ合うという
協同の感覚であるはずのものなのです。「君ができなかったら、誰かが代わりにやって
くれるよ」と言ってもらえるという安心感が底にあるような、社会の基本となるべき
感覚です。
哲学者の鷲田清一さんの言葉です。抜粋です。
親としての責任があるから、と、がんじがらめになってしまわないよう、「責任」と
「自立」について、思いを巡らせたいです。

2月11日(日)家族会
・同居している息子の調子について、悪くなるサイクルがあるようなので、記録すること
にした。
・息子は薬を多く飲むことがあるようで、起きてきてぼーっとしていることがる。
↓
もっと合う薬があるかもしれないので、不安なことがある場合には、医師に相談しよう。
・主治医が高齢なので、いつまで診てもらえるか、息子は心配している。
↓
主治医は必ず引継ぎをするので、大丈夫だ。
・引きこもりの息子と同居しているが、両親に何かあった場合、息子のことや、手続き等
親戚に頼むしかないのだろうか。
↓
親戚はよくない。まずは市役所福祉課に相談し、自治体のサポートはないか、調べよう。
・同居している息子は、A型事業所で疎外されているように感じているため、A型事業所の
職員に相談せずに、就職活動をしている。A型事業所はやめたいと言っている。
↓
「疎外感」については、A型事業所の所長さんに相談しよう。障害者枠の就職に関しては
A型事業所を通して行おう。就活を始めるタイミングもA型事業所からの指示を仰ごう。
・母親の実家で一人暮らしをしている次男は、少しだけ外に出られるが、まだまだ母親を
頼っている。長男は、両親とともに住み、ひきこもり状態。この先の不安を抱えている
ようだが、具体的に何かをしようということを親も長男自身も考えていない。
↓
暴力暴言がない場合は、「まあ、あと少しなら」と思ってしまい、何も手立てを考えな
いまま、月日がたつ。まさに「低く安定した状態」だ。安定はしているが、あくまでも
「非常に、低い状態」なので、なるべく早く打破しよう。まず、色々なことに対しての
「期限」を決めよう。例えば、3か月以内にクリニックの予約を入れる、など。具体的
に細かく決めて、実行に移そう。

1月14日(日)家族会
・一人暮らしをしている息子は、3か月前から薬を飲むことを拒否している。理由は、
「飲むと頭が痛くなるから」ということと「右足が歩きにくい感じになるから」である。
母親は、息子の通っているメンタルクリニックに、自分も通って、医者に息子の受診時
の様子を聞いたり、母親が気になることを相談しようと思っている。
・母親は最近2度も手術をしたので、運転ができない。一人暮らしをしている息子は、
母親が来てくれなくなったので、スーパーマーケットへ自転車ででかけるようになった。
しかし、「ゴミ出しはできない」と言うので、父の運転で、母と二人で息子のもとへ行
き、ゴミを出してあげた。
↓
母親は自分の体のことを考えて、「ゴミ出しもできない」と言おう。ごみ屋敷にさせよ
う。どうしても、ゴミがたまっていくのが我慢できないようなら、自分で出すように
なるかもしれない。また、それを理由にアパートへの引っ越しの提案もできるのでは。
・父母は、息子が10年ほどのひきこもりから、少し外出できるようになったのが嬉しか
ったが、医者から「今、入院するか、ひどくなってから入院するか、考えてください。
薬の投与も考えてください」と言われ、ショックだった。
息子は「自分は正常だから薬は飲まない」と言っている。父が「部屋中にガムテープ
貼るのは変だよ」と言ったら、息子は「排気ガスが入ってくるのが嫌」と答えた。
↓
ここはお父さんとお母さんの家です。排気ガスが入ってくるのが嫌なら、この家から出
て、排気ガスのない暮らしやすい場所のアパートへ引っ越そう、と言おう。タイミング
をつかんで、一人暮らしや、入院について考えさせるようにしむけよう。
・穏やかなお正月だった。皆でおせち料理を食べることができた。しかし、能登の地震を
受け、息子は「災害の時はどうしよう。薬のこともどうしよう。」と心配するようにな
った。それなのに、病院の予約は自分でキャンセルしている。最近は、「孤立について
の講演会」に息子が申し込んだが、当日、行けなかったので、父母が行った。
息子は「20歳の時、自転車とぶつかった話」とか、昔の話を、時折、話すようになっ
た。母親は、この「話をしてくれる状況」をずっと続けていきたいと思っている。
・同居している息子は、医者に「障害者枠での就職を考えている」と言い、A型事業所の
職員に相談もせず、すぐに履歴書を書き、応募したが、その応募先の会社から履歴書が
返却されてきて、その件は終わった。次に息子は、ハローワークに行った。
↓
A型事業所に通っているので、何か行動を起こすときには、必ずA型事業所の職員に相談
しよう。採用する側は「A型事業所での仕事ぶり、実績、本人の特性」が知りたいので、
A型事業所の推薦状が必要な場合もあり、面接時に職業支援員の同席を求められる場合も
ある。
・同居している息子は、最近、家の中で大きな音は出さないが、家の外で何かやっている
のでは、と心配だ。息子は、ウォーキング中に、棒や石を手に持っていることもある。
↓
母親は息子に「まわりの人はびっくりするよ。心配だよ。何も持たないで出かけよう。」
と言おう。
・同居している息子は、お弁当を時々コンビニで買ってきているようだ。お金は、自分の
内職代から出していると思うが不確か。
↓
おこづかい帳をつけさせよう。将来的に、息子が生活必需品について考えられるように
なる。母親もお金の流れが把握できる。

12月17日(日)家族会
・同居している息子は、光と電気が苦手で、テレビの画面も暗い設定に変えてしまう。
夕方、母が帰宅すると、真っ暗な中で、ひとりで佇んでいることがある。
日中は部屋の中を歩き回っている。両親が食事中の時は、そばで、ずっとただ、立って
いるだけのこともある。夜中、眠れないときは、突然、母親の部屋に入ってきて、
「逆流性食道炎って知ってる?」と質問して、その後、自分の部屋に戻ったりする。
通っているB型事業所のリフォームがあり、少し雰囲気が変わり、パニックになった。
1日2回接骨院に行くこともある。カイロプラティックもやるようになった。
「姿勢が悪い」と言って、自己流の変な踊りもしている。
メンタルクリニックの主治医に薬をすすめられたが、本人は飲みたがらない。その理由
はわからない。
↓
本人に「困ってるよね。困ってることがあるなら、主治医の言うことを聞いてみよう」
と言おう。母親は、精神科の薬が不安のようだが、そのことも母親から主治医に話そう。
主治医は色々試してくれて、合う薬を探してくれる。
・同居している息子は、潰瘍性大腸炎の薬を飲んでいる。今のところ、身体に合っている
ようだ。うつ、ひきこもりの症状があり、1年に1回の懇談に行けないので、息子は
母親に「最新の医学について聞いてきて」と言っている。
手術もできるが、手術をして治った場合、障害年金が打ち切られるか心配しているが、
うつ病でも受給できる。
・息子が、ヘルプマークを自分でもらってきて、付けるようになった。自分の障害につい
て、まわりに知ってもらうことに抵抗感がなくなってきたのかも。
・同居している息子は、月1回メンタルクリニックに通院している。眠剤を貰っているが、
飲んでいない。
昨年末、A型事業所に変わった。朝はそれまでより10分早く起きて行くようになった。
《その後の息子について》
*A型事業所の人たちとのバス旅行に行けなかったが、そのことを受診時に主治医に自分
から話せた。
*相談支援事業所の担当者が、自宅に来て、母親と面談したが、その時「笑顔が見られ
るようになりましたよ」と言ってもらえた。
*ある予約日ではない日に突然「クリニックに行きたい」と言った。その理由は、「A型
事業所に厳しい人がいる」ということと「A型事業所では、コミュニケーションが必要
な仕事がある」ということを話したいらしかった。そして、「障害者枠で就職したい」
と言い出し、ネットで見つけた「厨房の仕事に応募したい」と言っている。
↓
まずは、A型事業所の職員に相談しよう。A型事業所に移って間もないので、A型事業所
の何が嫌なのか、何に困っているのかを具体的にきちんと職員に説明しよう。
・同居している息子の精神障害者手帳を更新した。それを機に市役所へ相談に行きグルー
プホームに入居さたい旨を伝えた。その時、「物を壊したりする人は難しい」と言われ、
「知能検査をしたか」ということを聞かれた。「知能検査はしていない」と答えると、
「今年度から、判断基準が改正されて、昔の書類がなくても、精神科の医者の判断によ
り、療育手帳が交付されるかもしれない」とのことだった。療育手帳が交付されたら、
知的障害者のグループホームに入居できる可能性がある。
↓
知的障害に関しては、地域により様々な基準が違うので、行動を起こす前に自治体への
問い合わせをすることが望ましい。

11月19日 家族会
・母親は、同居している息子と、ドライブ、ウオーキング、買い物に一緒に行っている。
父親は、息子に障害者手帳が交付されたことで、息子を受容できるようになったようだ。
最近、息子は20センチくらいの石を拾ってきた。また、以前から息子の部屋からは、
物を投げつけたり、壊したりするような音が聞こえてくることもある。
↓
病院で、頓服薬を出してもらっているのだから、息子が大きな音を出している時には、
必ず服用させよう。頓服薬は、症状が出ているときに飲むものなので、「大きな音を
出したら飲む」と決めると、息子も「あ、今、よくないことをした」と理解しやすい。
服用のタイミングを親の都合にすると息子の受け入れがブレてしまうこともあるので、
息子に理解しやすいタイミングを習慣づけることが大切。
親は、息子のグループホーム入居が希望だが、まず、市役所の障害福祉課へ出向き、
「相談支援事業所」を紹介してもらおう。
・ひきこもっている人は、じっとして部屋にいるだけなので、「何も考えていない人」と
見えがちだが、実は周りをよく観察し、考えすぎるくらい考えていることも多い。
だから、どんなことも、本人の意思を確認しよう。本人を無視して、勝手にすすめたり
してはいけない。本人の困っていることは何か、聞き、選択肢を与え、決めるのは
本人でなければならない。
・同居している息子が、B型事業所への通所日数を変更したいと言っている。
↓
B型事業所の職員に相談するように言おう。親が適当に返答してはいけない。「わから
ない」「自分で質問しよう」と伝えよう。
「わからないことは、その道のプロに、自分で聞く」ということを、習慣づけ、親を
頼らず、自立へと導こう。
・同居している息子が、発達障害の検査を受けたが、医者は結果について「グレーゾーン」
としか説明してくれなかった。しかしその後、両親が、息子について「ものすごく困っ
ていること」を強く真剣に覚悟をもって伝えたら、医者の対応が変わり、「統合失調症」
と診断名を出してくれた。そして、次回の診察は「30分間」と指定してきた。
↓
発達障害からの二次障害としての「統合失調症」という見立てをしたのかもしれない。
「しっかりと息子の障害と向き合う覚悟のある親」として、30分間で生育歴の聞き
とりの時間を設けたのではないか。親は、生育歴、具体的なエピソードをたくさん書き
出しておこう。

10月22日 家族会
・母親の実家で一人暮らしをしている息子は、買い物を母親に頼んでいたが、最近は、
母親と一緒に出掛けられるようになった。
↓
母親は足を悪くしているので、買い物も母親と一緒ではなく、ひとりで行ってもらおう。
障害年金継続の手続きも、母親がやっているので、次回からは、息子にまかせよう。
どんなことでも、息子にやらせよう。
・母親の自営の会社に、息子は毎日出社するようになった。だんだん言葉遣いがよくなり、
ジャストの時間に出勤だったのが、2分前に出社できるようになった。
そのほかにも、割引日にエコバッグを持って買い物に行ったり、マイナンバーカードも
つくってきたりと、活動的になった。
どんどん変化していっている息子だが、「経済」についての考えは、引きこもり前の
「学生の頃」で止まっている。卒業後ずっと外界と接していなかったからだ。これから
は、会社の経営者としての視点ももってもらいたいと、母親は考えている。
↓
7月から出社し始めたところなので、母親は焦らず、少しづつ教えていこう。
・両親と同居している息子は、B型事業所に通っているが、「座り仕事は嫌」「立ち仕事が
いい」と言い出し、自分でネットで探したB型事業所に見学に行った。その後、現在通っ
ているB型事業所で「立ち仕事ができないか」職員と話し合いをして、息子は納得し、
そのまま同じB型事業所で働いている。
時には、内職をたくさんやりたいと言ったり、やっぱりやらない、と言ったり、言うこ
とがころころ変わるので、親は心配している。
また、「血の巡りが良くなる」と言って一日5回入浴している。これについても、心配
している。 ↓
不安なことは、全て医者に言おう。そして、医者には「障害者手帳がなんとしても
ほしい」と言おう。親も子も「障害者手帳のメリット」をきちんと認識しよう。
・墓じまいのため、5日間、父母は家を空けた。同居している息子は、ひとりで家に残り、
「事故が起こり、両親が帰ってこなかったら、どうしよう」と考えていたという。その
5日の間、息子は初めて洗濯をし、ゴミ捨てもし、食洗機も使っていた。お風呂にも
入っていた。自分でできることは何でもやろうとしている。
息子は「ふたりとも(父母)いなくなりそうな状態になったら、市役所と僕をつなげて
おいてほしい」と言っている。
↓
親は、市役所の福祉課に出向き、家の状況を伝えよう。息子のこと、親戚の連絡先等、
大切なことはノートにまとめ、同じノートを何冊も作り、それを託す人について、考え
よう。
・同居している息子の話を、ゆっくりと聞くことを、ずっと続けている。この間、息子の
好きなアニメの話を聞いていたら、息子の顔がぱあーっと輝いた。母親の「話を聞く
態勢」が整ってきたからか、息子はだんだんと感情をだすようになった。
↓
この文章を書いている私は、息子の話を聞く態勢には、まだまだ、なっていない。親の
側に「覚悟と態勢」ができれば、つまり、親が変われば子どもも変わっていくのだろう。

9月16日(土) 家族会
・同居している息子は、土日は、ひとりで食べ放題のレストランに行っている。そのお金
は、母親があげている。来月、A型事業所に見学に行く予定で、「A型事業所に通うよう
になったら、お金はあげない」という約束をしている。障害年金の申請も通ったので、
食費、ガソリン代、車検代なども半分出してもらおう。
↓
お金は貯めるものでもあるけれど、上手に使うものでもある。生きていくには、お金が
必要なのだと認識させよう。
・同居している息子を、グループホームに入れたいということを、医者に伝えたら、
「ソーシャルワーカーに聞いてほしいと」言われた。息子はほとんど話さないので、
「意思疎通のできない子はグループホームに入れない。」とも言われた。
↓
「だからこそ、入りたい」と医者に強く言おう。「いつか入りたい」だと入れない。
「すぐに入りたい。入れるところを探してください」とはっきり言おう。
・同居している息子は、母親の自営の会社に毎日出社している。4時間しっかり働いて
いる。しかし、遅刻したり、挨拶をしないということがあるので、給料袋の表面に
「遅刻・挨拶なしは減給」と書いたら、次の日から挨拶するようになった。
↓
目で見えるように、はっきり分かりやすく書いてあるのは、良い。
・同居している息子は、「内職やめる」と言ったり、「内職の会社」に「今からそこで働
く」と電話をかけ、出かけて、でもすぐに帰ってきたりしている。落ち着かない様子だ。
↓
両親が「息子の発達障害の検査結果」をきいても、医者は、特に何も言ってはくれなか
ったということだが、親は「ものすごく困っている」と言おう。家での様子も伝えよう。
医者が、親の様子を見て「この親は、たぶん、子どもを障害者というものにはしたく
ないと思っているのだろうな」と考えると、医者は「発達障害」という言葉は出さない。
・家で内職をしている息子が、B型事業所の体験に2回行き、登録した。火水曜日行く予定
である。送迎バスもある。
↓
家で内職もやっているので、B型事業所とかけもちは大変である。内職のほうが多少
賃金は多いかもしれないが、将来的に考えたら、B型事業所で働き、その後、障害者枠で
就職という選択肢も出てくるので、そのことも息子に伝えよう。
★発達障害者の人は、他人に言っていいことと、言わない方がいいことの判断ができない
ことが多い。時には、それが人を傷つけることもある。
↓
そういう場面に出合ったら、「父や母には何でも話していいが、ほかの人に言うのは
やめよう」と伝えよう。
この文章を書いている私の子どもも、見たままをそのまま口にすることがある。「正直」
「純粋」「天真爛漫」と幼いころはまわりから言われるが、30代の大人が、自分の
思ったままを言葉に出すと、かなり、強烈で、良い印象はもたれない。ものすごく嫌な
ことばかり言う人、となってしまう。

8月19日 家族会
・同居している息子は、最近、A型事業所に興味があるようだ。A型事業所は、社員扱い
なのでいいな、と思ったのかもしれない。
↓
「興味があるなら、見学に行ってみたら」とアドバイスしよう。まずは、自分の目で見、
耳で聞いて、実情を知って、自分に合っているかを確認することが大切だ。
・同居している息子が、母親の自営の会社で、1日5時間働き始めた。9時始業だが、
9時ジャストにしか来ないので、給料袋に「9時10分前に来なさい」と書いた。
↓
発達障害者は、言葉をそのまま受け取るので、早めに来てほしい場合は、わかりやすく
はっきりと「8時50分に来なさい」と伝えるのがよい。
・父親が断捨離中、同居している息子の箪笥のひきだしから、50万円をみつけた。その
現金を、父親が勝手に銀行で定期預金にした。それを聞いた息子は「障害年金の申請中
なのに、貯金がたくさんあったら、申請が通らなくなるかもしれないだろ!」と怒った。
怒りと不安で眠れなかった息子は、次の日、B型事業所を休んだ。しかし、通院して、
主治医から「貯金があっても、障害年金の申請は通るよ」と言われ、落ち着いた。
父親は、息子の定期預金を解約した。そして、そのお金は息子に渡した。
↓
息子は、母親にお金をもらって外食したり買い物したりしているが、今後は、その
50万円とB型事業所で得た工賃を使うように言おう。たくさん現金を持っているの
だから、親はお金を渡してはいけない。お金は「使ったら減っていく」ことを実感させ、
自分が労働で得たお金を、自分の欲するものに使う喜びも味合わせてあげよう。
・父親と息子の関係がうまくいかず、父親はひとりでアパート暮らし、母親と息子は
家で暮らしていたが、息子が「一緒に住む」と言い、10年ぶりに3人で暮らしている。
お互いがお互いに、まだ慣れていないので、毎日ぎくしゃくしている。落ち着かない
ようで、息子は、B型事業所の体験予約をキャンセルしてしまった。母親は、「最近は
ものすごく前向きに進んでいたのに・・・」と落ち込んでしまった。
↓
息子が「一緒に住む」と言ったことが、何よりも大きな大きな前進です。
10年ぶりに家族がそろったのだから、落ち着かなくて当然。ぎくしゃくもするが、
そこには、ほんの少しの「はにかみの気持ち」も含まれていると思うので、父親も母親
も、ゆったりとした気持ちで、息子の様子を見守ろう。「父が一緒にいてあたりまえ」
になったら、息子は再び動き出すだろう。その時、もし、息子に何か質問されたら、
色々な選択肢を提案できるように、親も勉強したり見学したりして情報収集しておこう。
しかし、息子に質問されて正確に答えられないことには「わからない」とはっきり言い、
「まずは自分で調べようね」「専門家に自分で聞いてね」と言おう。
・母親の実家で、息子は一人暮らしをしている。今までは、宅配の受け取り、買い物は
母親がしていた。しかし今は、宅配の受け取りは自分でできるようになり、母親の買っ
てきた物を自分で家の中に運べるようになった。母親が「体調がよくないこと」を息子
に伝え、「できない」とはっきり言ったからだ。
↓
先月の家族会で、この母親は、「膝がとても痛くて、辛い。もう、荷物運びや宅配受け
取りはしたくない」と言っていた。それを、きちんと、息子に伝えることができ、息子
もそれを聞き入れた。向き合って話して、ちゃんと伝わったのは、すばらしいです。
親はどんどん年をとって、できないことだらけになること、もしかしたら、親は、突然
死ぬかもしれないこと、そのために自分でできることはやる、できなかったり、わから
なかったら誰かにたずねる、自分で調べる、親ではない誰かに聞くこと、公的な機関に
出向くこと、通院して医者に聞くこと、そういうことがとても大切だ。
・一人暮らしをしている息子は、資格試験を受け続けている。しかし、「来年で最後にす
る」と言っている。1年という期限が決まったので、「合格の場合、どこに住んで、ど
こに勤務するか」「不合格の場合の今後」を具体的に考えておこう。ただし、合格した
としても、長い間ひきこもっていたので、いきなり普通に勤務するのは難しいというこ
とについても、きちんと話し合い、これからのことを考えさせよう。そして、親は、
「資格試験に関するお金をだすのを最後にする」とはっきり言おう。
↓
ひきこもりで、司法書士などの資格試験を受け続けている人は、とても多いです。
「難しい資格試験の勉強をしているのだから」という理由に、親も子どもも、寄りかか
ってしまい、そこから抜け出せなくなっている場合もあります。特に、親にとっては
「世間体がいい」し、資格を取ったら「きっと働ける」と思い込んでしまいがちです。
この文章を書いている私もそうでした。母親の期待を、子どもは、特に発達障害の子ど
もは敏感に感じ取ります。無意識のうちに、親の理想を子どもに渡し続けているかも
しれません。何になりたいか、どう生きたいか、何が欲しいか、は本来自由のはずです。
私の場合も、「母親である私自身が、資格に執着していた」ことに気づいて、それを
きれいさっぱり捨ててしまったら、子どもも資格試験の話をしなくなりました。
たくさんの人たちに「ひとを変えることはできないよ。でも、自分を変えることはでき
る。そうすると、まわりが変わってくるよ。」とさんざん言われましたが、その通り
でした。親が、まず、「執着」を手放しましょう。と言っても、時々は、「何かに
執着する自分」が顔を出します。一生の「宿題」だと思います。
・同居している息子は、障害年金をもらえるようになった。しかし、本人はそのことを
理解していない。息子は自分で更新ができないだろう、と母親は思っている。通帳の
管理もできないと思う。最近、壁を蹴るときもある。何をどうすればいいのかわからな
い不安があるようだ。
次回の通院時に「2年後の更新の時までに、グループホームに入居させたい」と、
主治医に言う予定である。
↓
息子にとっては、日課が決められているグループホームは合っていると思うので、
具体的にすすめていこう。日中活動ができる場所探しも同時にすすめよう。
金銭管理は権利擁護を利用できるが、利用の仕方等わからないことについては、まず、
相談支援事業所に聞こう。そして、親が一切関わらなくても息子が生きていけるように
していくことが、自立した生活を送ることとなる。

7月15日 家族会
この日は、「障害年金受給申請」のため、「息子の生育歴」を作成したいという母親に
皆でアドバイスしました。アドバイスする側もされる側も、話しながら忘れていたこと
を思い出したり、新たな気づきもあったりして、よい時間でした。
まずノートを一冊用意します。このノートに、子どもの年齢順に、その時の様子を書い
ていきます。メモしたことをもとに、PC等で清書し、社会保険労務士さんに渡します。
できるだけ詳細な方が、社会保険労務士さんとの面談時に時間もかからず、話し忘れも
なく、よいと思います。
「生育歴」を書くことは、結果的に、発達障害者であろう子どもの経験してきた「困難」
つまり「生きづらさ」を浮き彫りにします。親がその時どう感じていたか、まわりの人
達の反応はどうだったか、やりとりはどのようだったか、トラブルはあったのか、とに
かく思い出したらどんどんノートにメモしていきましょう。
「大きなできごと、トラブル」なんてなかったから、うちの子はずっと問題なんてなか
ったと考えている親はとても多いと思います。しかし、家族会で皆で話したり、聞き取
りをしていくと、「あ、それはおかしいよ」と指摘され気づくことがあります。
今回、「生育歴」を作成したいという母親も「そういえば、昔、妹が、お兄ちゃんって
変わっている」と言われていたことや、昔からずっと挨拶をしない、目を合わせないこ
とに気づきました。また、幼少時、全ての車の名前を言えたこと、小・中学校の成績が
良かったこと、一人暮らしを始めてからは調味料にこだわりがあること、車に執着して
いること、など色々話してくれました。幼少時、何かを全て暗記する、というのは、
頭がいい、と褒められたりすることが多いですが、機械的な暗記が得意な場合は、
「特定なものへのこだわり」がある「アスペルガー症候群」の可能性もあります。
調味料をたくさん揃えなければ気がすまないのも、こだわりが強いということなので、
日常生活をするうえで少し困難になるかもしれません。
母親が「うちの子どもの良いところ」と思っていることこそが、典型的な発達障害の
特徴かもしれません。
生育歴は、もちろん社会保険労務士さんに渡すものであり、障害年金を取得するための
参考資料になりますが、それよりも、作成するために0歳から現在までを、ゆっくりと
母親が思い出す行為そのものが重要です。「ああ、あんなことがあったな。あの時、も
しかして困ってたのかな。」と、自分と子どもに向き合う時間を持つためのものでも
あります。
★生育歴を書くとき、親が忘れてはならない最も大切なことは、そもそも、なぜ、
障害年金が必要なのかということです。なぜ必要なのか。障害を持った子どもが、
親亡き後も生涯に渡って幸せに生きられるために、だと私は思います。
「障害年金」「障害者手帳」はあくまでも、幸せに生きるためのツールです。取得する
ことが「目的」になってしまわないようにしましょう。取得を急ぐあまり、目先のこと
だけ考えるのはよくないです。俯瞰して全体を見渡すことが大切です。
何かを進めるときは、立ち止まり、「誰かの考え」ではなく「自分で考えたことか」
「自分は本当にそう思っているか」を自身に問い掛けてみましょう。
そのうえでの「幸せに生きるために社会資源を使い倒す」です。「幸せ」の定義も
親と子どもでは違います。子どもの幸せを、勝手に親が決めてはいけません。

6月17日 家族会
・息子は「訪問看護に来てもらうようになってから、自分は変わってきている。」と
言っている。内職、パソコンスクール、サポートステーション、通院と毎日忙しくして
いる。最近、B型事業所の見学にも行きたいと言い出したが、少し不安もあるようだ。
↓
実際に見学してから、落ち着いて、自分の通いたいところを考えればいいよ、と
言おう。
・一人暮らしの息子の家の中に、母親が、買ってきた物を車から降ろして運んでいる。
しかし、膝が痛くて辛い。
↓
やめよう。母親は、車の中で待っていて、息子が荷物を取りに来て自分で部屋に運ぶ
べき。または、息子がネットスーパーで買い、自分で受け取ることにするべき。
せっかく一人暮らしをしているのだから、母親は家に行くのをやめよう。
・一緒に住んでいる息子は、離婚した夫の苗字だが「母の苗字に変えたい」と言ってき
た。マイナンバーカードも作り、家事も母親の仕事もきちんとやるようになってきた。
↓
もしかしたら、母親の自営の会社を自分が継ぐということを意識し始めたのかもしれな
い。
・一人暮らしをしている息子が、近くにできたB型事業所の見学に行った。しかし、その後
事業所に連絡しようとはしない。なかなか前向きになれないようで、「生きてても
しょうがない」と言っている。心配した母親は「家に帰ってくれば」と言った。
↓
せっかく一人暮らしをしているので、家に連れ戻さないほうが良い。息子は「家に帰り
たい」と言ってない。親は先回りをしてはいけない。
息子が「苦しい」と言っているなら「医者に相談しよう」と言おう。親は適当なことを
言わずに「専門家」にすべてゆだねるのがよい。

5月20日(土)家族会
・ずっと訪問看護を受けていた息子が、発達障害の検査のため、自分で病院に行った。
結果はまだだが、診断が出ると、色々なことがうまくいかなかったのは、自分のせい
ではなく、障害があったからなんだと腑に落ち、これからのことを落ち着いて考えら
れるようになるかもしれない。
・7月末に家族4人で2泊3日の旅行に行く。オレンジのB型事業所に通っている息子
も行く予定だが、自分で職員に「7月の○○日休みたい。」と伝えることができるか
見守りたい。 ↓
母親が作業所に伝えたり、子どもに「職員の人に連絡するんだよ」とわざわざ教えて
はいけない。もし、息子が旅行のことを伝えず、無断欠勤になり、注意され、周りに
迷惑をかけることになっても、よい。自分が何を失敗したのか、だめだったところは
どこなのか、しっかり認識できることが大事。たくさん失敗して成長していくのが
B型事業所である。
・B型事業所に通っている息子を、毎朝起こしていた母親が「明日からは自分で起きよ
う。私は起こさないからね。」と宣言した。次の日から息子は、自分で起きてくる
ようになった。母親の強い決意を感じたのかもしれない。
この母親は「宅配の受け取り」「お小遣いを渡すこと」も辞めたいと思っているが、
まだ実行できずにいる。 ↓
母親の揺るぎない決断の気持ちを感じたら、あっさり自分で何でもやるのではない
か。せっかくB型事業所に通っているのだし、お金を渡すのはやめ、賃金の中で
やり繰りさせよう。
・今年度の目標「息子と話す」ことができている、と感じている。息子は少しづつ、
心を開いてくれて、「小学校の時の気持ち」を話し始めた。母親は「親とだけでなく
もっと若い人や支援者と話してみるのもいいのでは。」と勧めているところだ。
・一人暮らしをしている息子の所に食料を届けたり、ゴミ出しをしたり、宅配受け取り
したりするために、通っている。しかし、とても疲れてしまうので、「宅配受け取り
はもうしない。」と 伝えた。息子は全く文句を言わなかった。
↓
息子は心の底では、「自分でできる」と思っている。しかし、親がやってくれるなら
「楽でいい」となっている。親は世話を焼かず、何でも自分でやらせよう。
・息子はカードで沢山買い物をし、引き落としができないこともよくある。その場合は
母親が補填している。 ↓
親が補填してはいけない。「引き落としできない状態」のままにしておこう。子ども
が困らないといけない。このままだと、息子はずっと沢山買い物をし続けるだけだ。
しかも、息子は補填に関し、親に感謝はしない。実は「僕は親に見下されている」と
感じていることのほうが多い。誰でも、親にお金をもらったり、何かをしてもらった
ら、「楽でいい」が、心の奥底では「こんなことを続けたら、自分はどんどんだめに
なる」とわかっている。
★B型事業所に通っていたり、障害年金をもらっていたり、内職をしていたり等、収入
がある場合は、そのお金を自分で管理させ、使い方を考えさせよう。

4月15日(土)家族会
今回の家族会では、それぞれが「今年度の目標」をたてました。
できるだけ具体的に、あまり無理せずできることにしました。やり遂げるためです。
いつから取り組むのか、期限はいつか、はっきりさせることもとても重要です。
・目標「息子と週2回、話す態勢をつくること」
なかなか本音を言わなかった息子が、最近とても話したそうにしているから、しっかり
聞きたい。そのためにも、親は自分の体調を整え、穏やかな気持ちで過ごし、良い
雰囲気を作り、息子が話したいときにきちんと聞けるように備えたい。
・目標「B型事業所に通っている息子を、朝起こさない&起こさない理由を夫に説明する」
父親と母親が、朝、息子を起こしているが、自分で起きられるようにしむけていこう。
スマホのアラーム機能を使う、目覚まし時計を使う等、自分で起きる方法はいくらでも
ある。
父親は息子の世話をずっとし続けたいようだが、せっかく支援施設に通っているのだか
ら、「寝坊して遅刻しそうになった時、どうするのか」を自分で考えさせるいい機会と
捉えよう。 ↓
夫に「なぜ、親が起こしてはいけないのか」を説明し、夫婦ともに同じ方向を向いて
息子を見守ろう。
・目標「教会のミサに月2回出席する」
仕事が忙しく、ここ何年かは参加できなかったが、ミサに参加すると、心が落ち着き、
息子へのイライラがなくなる。
↓
母親の気分が良いと、息子にもそれが伝わり、無言で母親を気遣う行動もしてくれる。
・目標「息子の世話を焼かない&自分のことを優先する」
先走ってやってしまい、かえって息子に鬱陶しがられることがよくある。
↓
何でも親がやってしまうと、何も考えなくなってしまう。ご飯を持ってきてもらえる、
宅配も受け取ってもらえる、ゴミも出してもらえる、という生活だと、外に出なくても
人と会わなくても、何とかなってしまう。「親が手出ししないこと」が生きていく方法
を教えることである。
母親は自分が忙しかったり、体調が悪かったりしたら、まず自分の心も体も休めよう。
「苦しいけど、息子のためにあらゆることをやってあげる」のはやめよう。
・目標「週3日、夜のお菓子をやめる」
いきなり、お菓子は一切食べない!とすると、イライラしてしまい、よくない。
まずは、週3日から始めよう。
↓
なかなか目標をたてても、実行するのは難しい。でも、親ができないのに、息子には
「ああしろ、こうしろ、こんなふうにしてほしい、こうなってほしい」と思うのは
よくない。親も決めたことをやり遂げよう。
・目標「息子について、何もしないことを貫く」
子どもが動き始めようとしているときだからこそ、親は口を出さず、子どもが自分で考
え、選択するのを、見守ろう。
↓
子どもが「一人暮らしをする」と言ったので、思わずアパートを検索し始めてしまった
と、父親が家族会で話してくれました。しかし、「親が探してくれたアパート」は、
「子どもが自分で考え決断したもの」ではないので、いつか綻びが生じるということを
家族会の話し合いの中で悟ったとも、父親は語りました。
・目標「(子どもが)欲しいって言ったか、と考える」
親に何かしてもらうのは楽だから、その場では、子どもは文句を言わないが、「何か
いやだな」という感じは子どもの心の中に積もっていく。
子どもが「欲しい」と言わないのに、どんどん与え続けるのは、考える力を奪っている
こと。
「何もしない」ことは、「何かをしてあげる」ことより難しい、と感じている家族会の
人たちも多いようです。「何もしない」ことは、無視したり、縁を切ることではありま
せん。家族は、「ここぞ」というときのために、常にアンテナを張り、情報収集をし、
色々な選択肢をもつべきです。そのためには、「社会資源」と言われる、各種制度、
サービス、支援団体、ネットワーク等を使い、連携することが大切です。

3月18日(土)家族会
・B型事業所に通っている息子の通帳を、母親が管理している。この口座には工賃が
振り込まれている。
↓
その通帳は本人に管理させよう。労働で得た収入を自分の自由に使える喜びを味わうこ
とはとても大切。そして使えば減っていくことも認識させよう。
どんな小さなことでも自分でやらせよう。親が息子の意欲を潰してはいけない。
・入院した時に「その体重だと麻酔が効かないよ」と言われた不安からか、息子の気持ち
が変化してきた。散歩、食事制限(ご飯を少なくする・一食分ゼリー食にする)をする
ようになった。そして、ご飯を家族と一緒に食べるようになった。家族でスタバにも行
き、息子は自ら店員さんと言葉も交わしていた。親戚も交えて、入院している祖母を見
舞った。また、発達障害の検査も受けた。
↓
行動するようになったのは、自分の年齢、親の年齢を意識し始めたからかもしれない。
これを機に、親も体が辛かったら病院などには息子一人で行ってもらうようにしよう。
・一人暮らしの息子は最近イライラしている。原因は「通帳残高が少なくなってきたこ
と」と「仕事に行ってないことを、父親に言えないこと」である。「歪んだ家族だ」と
言っている。しかし、母親には昔の話をするようになってきた。以前、働いていた会社
で、上司に頭をたたかれたこと等であるが、通院できているのだから、先生に話そう。
・息子は、母親の実家で一人暮らしをしている。その実家の庭の草引きを、息子と母親で
した。とても大変だった。このような時は良い機会なので、「こういう一軒家に住むと
草引き以外にも、自治会等やることがたくさんあり、特に近所付き合いが本当に大変
だ」と伝えよう。それが自分でできないのなら、母親の実家から早く出て、アパートで
一人暮らしをすることを提案しよう。
↓
ゴミ出しや食材の買い出しを母親がやってしまうと、ひきこもりの子どもは全然困らな
い。「スーパーが近くにないから買ってきて」と言うのであれば、その困り事を解決
する方法としてスーパーが近くにあるところに引っ越そうというように持ち掛けよう。
食べ物を持って行ってあげないとかわいそう、お金をあげないとかわいそう、と考えて
ずっと、ひきこもりの子どもの世話をしていたら居心地がいいので、絶対動かないし、
外に出ない。困らせて、自分で考えさせよう。親がいきなり亡くなっても、生きていけ
るように、「親」ではなく「他人」に頼ろう。医者、NPO法人、区役所の福祉関係
など、「他人に頼ること」が「自立」である。ひとりで何もかもやること、家族内で
完結させるには無理があり、かえって「自立」への道のりが長引くことが多い。
・訪問看護師2人に、息子一人で対応している。最近通い始めたPC教室も続いてる。内職
代2万円、教室代1万6千円なので、自分で払っている。内職部品の受け取りは母親が
している。その内職について、母親が会社から注意を受けた。「できあがった製品に
傷がある」ということだった。息子に伝えたら、「わかった」と言ったが、その後
できあがったのは、また傷のついた製品だった。母親が会社に行き、やり方を教えても
らい、それを伝えたが、息子は「ずっとこのやり方だから、ほかのやり方はできない」
と言った。なので、息子ができないところは、母親がやっている。
↓
その場合は、母親がやった分の賃金は息子から貰おう。
内職も立派な息子の仕事なのだから、母親から伝えるのではなく、息子が会社へ行って
理解できるまで説明を受けよう。できる内職に変えてもらう申し出をするのも可。
・ひきこもりの息子と父親の折り合いが悪く、父親は自宅を出て、10年間アパートで
一人暮らしをしている。父親は夕食は自宅で食べ、寝るとき、アパートに帰る毎日だ。
最近息子が「一人で、父のアパートに寝てみる」と言いだし、一晩ひとりで過ごした。
翌日、息子は父親に「お父さんは自宅で寝て。僕がアパートを借りて一人暮らしする」
そして「お父さん、10年間も申し訳なかった」と言ったことには驚いた。
↓
まずは一人暮らしをするためのお金の流れを紙に書いて可視化しよう。B型事業所で
作業をして収入を得るという選択肢も提示しよう。

2月19日 家族会
・ひきこもりの息子の入院中に、息子の許可を取り、自宅のベッドの掃除をした。部屋が
片付けられなくて、ひどい状態だ。
↓
発達障害の検査をしてもらおう。障害がわかることにより、今までのうまくいかなかっ
たことや苦しかったことが「自分のせいではなく、障害だった」とわかり、精神が安定
することもある。
・一人暮らしの長男が地元に帰ってくることになった。長女は4月に結婚の予定だ。ひき
こもりの次男に、兄妹の近況を伝えたほうがいいか?
↓
同居するのでないなら、わざわざ伝える必要はない。
・オレンジの会の施設外就労の仕事をしているそうだが、発達障害の息子にはこだわりが
あり、施設外就労先のやり方と自分のやり方が違うことを受け入れ難いとのこと。
↓
発達障害の特性が出ている。障害者枠で就職したとしても「こだわり」が強すぎると
苦しいことが多く、辛くなるかもしれない。
・正月に、母親がコロナウィルスに罹った。普段は全く接しない父と息子が仕方なく関わ
り合うようになった。
↓
親が病気になった時は、チャンスと捉えよう。親は何もせず、全て息子に任せよう。
・月曜から金曜までB型事業所に通っている息子の現在のマイブームは「食べ放題レスト
ラン」と「DVDに録画」である。これらのお金は全て親が出している。
↓
せっかくB型事業所に通っているのに、ただお金が貯まっていくだけになっている。
ATMの使い方を教えて、自分で、自分の通帳から引き出して使わせよう。「使ったら
減るのがお金」と理解しないといけない。
・兄は自宅でひきこもっている。弟は母の実家でひきこもっている。父親は兄には
お金の話をするが、弟には何も話さない。兄は「両親が亡くなったらどうしよう」と
言っている。
↓
これからのことを具体的に話そう。毎月の生活費を具体的に紙に書き、可視化しよう。
母親が金銭的に支援している弟については、お金を出す期限を決めよう。弟は「資格
試験」も受けているが、いつまで受けるのか期限を決めよう。期限は具体的に!
・自宅でひきこもっている息子に、訪問看護に来てもらっている。「疲れてるから、お母
さん出て」と言っていた。しかし最近は、看護師と「PC教室通っているけど、やめる
つもり」「内職やってる」と話している。次の週には、「面白いからPC教室を続けよう
と思っている」と話した。複数の看護師のうち、息子と気が合う人が毎週来てくれるよ
うになり、息子は楽しみにしている。PC教室代は、内職代から自分で払っている。
↓
もし、お金が無くなって教室に通えなくなっても親がお金を出してはいけない。せっか
く今、自分で払っている喜びを感じているだろうから、内職量を増やす、B型事業所に通
う等、更なる収入が得られる方法を提案し、親は、息子が今の気持ちを継続できるよう
な協力をしよう。
・自宅でひきこもりの息子は高校卒業。娘は大学卒業と留学。お金のかけ方に差があり、
親としてはもやもやしている。
↓
差があるのは仕方がない。息子が親にお金を要求してきたら、貸すという選択もあるが
大人同士の対等な立場で息子と話し合い、借用書を交わすとよい。
・冬は寒いので、訪問してくれる看護師のために、自宅の床にラグを敷いたが、息子は
「ラグは調子が悪くなるから嫌だ」と言い、撤去してしまった。
↓
看護師はお客ではないので、ラグはなくてよい。あくまでも「息子のために」来てもら
っている。
・所有している田に測量関係の調査が入り、立ち合いが必要になった。それに、息子が
行ってくれた。
↓
看護師と話すことが社会に一歩踏み出せたことと感じ、自信がついたのかもしれない。
もっと社会とつながれるように、これからも家のことを色々、息子に頼んでみよう。


1月21日 家族会
・週に一度、2人態勢で訪問看護してもらっている。体温、血圧、1週間の様子を話す。
その後は、看護師2人、母親、息子の4人でトランプをしたりする。看護師は、時々、
来る人が変更になるのだが、息子と合わない人もいるようだ。そういう時、息子は「あ
の看護師は好きではない」と言っている。
↓
訪問してくれる看護師を話題にでき、「好き嫌い」を言えるのは良いことだ。自分の
気持ちを、母親に話しているということだから。
看護師には、息子の言っていることを全て話そう。密に連絡を取り合おう。支援してく
れているひとには、きちんと話すことが大切だ。支援者と信頼関係を築き、困ったこと
は相談しよう。
・息子の部屋にパソコンのテキストとメモ書き(パソコンスクール14時)があった。母
親は、そのことが気になっているが、聞けないでいる。
↓
母親が息子に尋ねるのではなく、医者や看護師から聞いてもらおう。例えば、「今、興
味のあることは何かな?」など。
・祖父の卒寿の宴席に、息子は出席できた。一人で辿り着けるかのかと心配していたが、
お店には一番早く着いていた。服装も、お祝いの席にふさわしいものだった。
・息子は頼んだことは、仕事でも買い物でも、必ずきちんとやってくれる。母親は、とて
もうれしく思っている。
↓
発達障害の人は、物事の優先順位がつけられないことが多いので、「やってね」と言わ
れたことは全て一度にきちんとやろうとして、疲れてしまう。なので、何か頼む時には、
何回かにに分けよう。
・一人暮らしをしている息子が、最近、母親に話したこと。
「他のひきこもりの人は、生活費をどうしてるの。」
「昔、働いていた時の辛かったことを思い出すと前に進めない。」
「人と関わるのは苦手。」
クリニックに月一回通っている。父親とは、以前よりは話せるようになったが、「働い
ていないこと」は言えないでいる。母親は、「苦手なことを克服できたらいいな」と
思っている。
↓
「発達障害」は「障害」なので、治るもの、克服するものではない。自分の苦手部分を
人に話し、理解してもらい、自ら支援を求められるようになることが大切である。
・母親の実家で一人暮らしの息子は、年明けから荒れていて、「通院したくない」「一軒
家は寒い」など、文句ばかり言っている。
↓
すかさず、「一軒家が寒いのなら、アパートに引っ越そう」と声かけしよう。
いつまでも母の実家では暮らせないことを、生活費の収支表を細かく具体的に作成して、
見せて伝えよう。発達障害者には「可視化」が必要である。
母親の実家に住んでいると家賃はいらなく、光熱費や食費も息子は払っていない。
祖母や両親が亡くなった後、収入もなく自立ができていない息子が、一軒家を維持して、
誰にも頼ることなく一人暮らしをすることは難しいことを理解してもらおう。
「作業所に近いアパートに引っ越し、障害年金と作業の賃金での一人暮らしをする」と
いうことを、親が動けるうちに、というよりも、できるだけ早く実現させよう。これは
かわいそうなことではない。両親亡き後、母の実家の一軒家でお金が無くなり、ひきこ
もったまま、困窮するほうがかわいそうである。
また、声かけは、タイミングが大事である。「まさに、今」を逃さないためにも、親は
情報を収集し、子どもをよく見ていよう。
・一人暮らしの息子は、一か月に一回、母親の家にやってきて、スマホから印刷をしてい
る。200枚以上印刷するときもあれば、20枚のときもある。気になる記事を見つけ
ると、印刷したくなるようだ。しかし、印刷した後は、箱に入れて見返さないようだ。
↓
築30年のアパートに住んでいるので、近い将来、建て直しがあった時に、荷物が(特
に紙類)多いと引っ越し費用がかさむということを伝えよう。

12月17日 家族交流会
・一人暮らしをしている息子は、最近料理をするようになった。調味料と野菜にこだわり
があるようで「発達障害の人が食べると良い野菜」を取り寄せている。朝は5時半に起
き、自転車に乗り、その後、座禅を組んでいる。そのようなことをすることで、何だか
調子が良いような気がすると言っている。
↓
一見よいことをやっているようだが、極端すぎるのはよくない。こだわりが強すぎると
社会へ順応しにくい。
・息子がキレる時は目つきでわかる。なぜキレるのか聞いたら「世間からつまはじきにさ
れているから」と。親がいなくなったら何を生きがいにしたらよいか、とも言っている。
↓
まずは本人にどうしたいのか聞いてみよう。
・先日、父母が二人で旅行に行ったが、本当は息子も行きたかったのかも。高速道路の
振動が嫌ということだ。息子はネットで買い物をよくするが、届くとそれで満足して
しまい、中身を見ない。「発達障害かも?」と息子が言うようになった。
↓
車の振動の件、ネットの買い物の件、どちらも発達障害のこだわりが見られるよう
なので検査を受けると本人も自分の症状について納得できるのでは。
・母の実家で一人暮らしをしている息子の資格試験の受験料を、母親が出している。
↓
息子は障害年金を受給しているし、家賃もかからず、光熱費は母親が出しているので、
資格試験などのお金は自分で何とかしよう。父母は年金生活者であり、突然いなくなる
こともあるので、生活に関わるお金のことを、具体的な数字をはっきりと紙に書いて
息子に提示し、今後のことを考えさせ自立を促すようにするとよい。
・「さみしい」と書いた紙が、母親の目につくところに置いてある。時々キレるし、わざ
と大きな音をたてる。原因が知りたい。また、外出時に、マジックと袋を持っている。
以前、袋に石を入れていたことがあったので、危険な気もするし、心配だ。
↓
外出時に必要のない物は持って出かけないよう、随時声掛けをしながら見守ろう。
わからないことや判断できないことは、主治医に相談しよう。
・息子が訪問看護に来てくれた医者、看護師と話をした。医者には「引きこもっている
ことに不安は感じない」と言った。一週間に一度来てもらうことになった。
↓
慣れていって、通院できるようになるとよい。親は、息子が何かできるようになっても
息子の前では喜ばないこと。逆に、できなくなっても残念に思わないこと。親の心を常
にフラットに保つことがとても大切である。


11月13日 家族交流会
・訪問看護について迷っていた息子だが、とうとう来てもらうことになった。
↓
誰でも、特に新しいことに対しては迷うものだ。迷うのは、やりたいという気持ちが根
底にあるということ。そのような時、親は、子どもと一緒になって迷ってはだめ。親は
「医者と会う」と決めたら、それを崩さないようにしよう。ただし、もし、当日、急に
「やっぱり嫌だ」となっても、親は落胆しないように。
・B型事業所に通う息子は、土日は生活リズムが乱れて、昼夜逆転になる。月曜日はいつも
眠そうだ。月曜日起きられるか心配だが、父母はあえて日曜日月曜日に旅行に行くこと
にした。いつも朝起こしてくれる親がいない状況を乗り越えてほしいと思っている。
↓
親のいない月曜日。次回の家族会で話を聞くのが楽しみです。
しかし、B型事業所に通ってくれるだけで充分!と思ってしまい、何もかも親がやって
しまう、世話をしてしまう、というのはやめよう。自分のことは自分でやらせよう。
子どもにお伺いをたてたり、お願いをすることもやめよう。
・息子は35歳で、一人暮らしをしている。集団にとけこむのが苦手である。母親とは
普通に話せる。最近「高校くらいから、人が怖い、不安があった」と息子が打ち明けて
くれた。2度、就職したことがあり、貯金は多少あるようだ。
↓
「貯金がなくなったら、どうするの?家に帰ってくる?」等、先走って、色々心配は
しないようにしよう。親が勝手に、息子は「これが心配なんだろう。こうしたら喜ぶ」
と想像して動くのはやめよう。
・息子は、母と祖父のために買い物をしてきてくれるが、買いすぎるところがある。
↓
息子にはっきりと「いる」「いらない」と言おう。発達障害者には、はっきり言わない
とわからない。
・一人暮らしの息子は、「菌」にものすごい恐怖を感じている。買い物や、ネットでの
買い物の受け取りは、母親がしている。物が床に落ちたら、触れないときもある。母が
何かを落とすと、怒る。
↓
母親は「もう何もやらない」と宣言しよう。母親が、買い物もゴミ出しも、何でもやっ
てくれたら、外に出ていかなくても生活できてしまう。好きなことに関しては、外出
できるようなので、母親が世話を焼くのは、やめよう。障害年金の使い方も親子で話そ
う。
10月23日 家族交流会
・訪問看護をしてくれるクリニックの診察に、息子が「行く」と言ったが、5分後には
「やめとく」と気が変わった。その会話の後、母親が「社会とのつながり」「障害年金」
「通院」について話したが、息子は「そんなことわかってる。お母さんは未来ばかり
考えすぎている!よくない!」と少し怒っているようだった。
↓
親は「子どものため」と思って話しているが、「あなたのためなんだよ」という言い方
をされると、誰でも反抗したくなる。「あなたのために」ではなく、「私(親自身)の
ために」と言おう。
・母親が社労士に、障害年金申請のために必要な書類作成をしてもらった。
↓
自分で申請するより、専門家に依頼するほうが良い。不備もなく、スムーズに進む。
・息子は、担当医師を拒否している。家の中に「医者死ね」というメモが落ちている。
前回の診察時に何かあったらしい。そのせいか、息子は最近落ち着きがない。家の二階
の足音からイライラが感じられる。
↓
「現在担当の医者が嫌なら、次回一緒に行って、交替してもらえるかどうか、きいて
みよう」と息子に話そう。母親が勝手に医者に伝えるのではなく、本人が「何が嫌だっ
たのか」自分で伝えよう。
・息子はB型事業所に休まず行っている。平日は疲れるようで、帰宅後いったん寝るので、
夜ご飯は家族と食べない。土日は昼夜逆転しているので、月曜日は眠そうだ。医者には
月一回、母親と一緒に診察室に入っている。息子は「月曜日は辛い」と伝えた。B型事業
所で得たお金は使っていないので、通帳には貯まっているはずだが、母親のカードで好
きなものをネット買いし、出かけるときは「お金欲しい」と言う。
↓
欲しいものは、自分の通帳からおろして買おう。自分で働いたお金で、自分の欲しいも
のを買う楽しみ、喜びがわかると、働くことの意味も見えてくる。そのためにも、母親
は、お金をあげてはいけない。
・アパートで一人暮らしをしながら、B型事業所に通っている息子が、「新聞紙を十字に
縛る方法を教えて」と連絡してきた。母親はアパートへ出向き、教えた。
↓
発達障害者の中には「一般の人なら、難なくこなせること」ができない人も多い。聞か
れた場合には、親がすぐに何とかしようとするのではなく、B型事業所の職員に聞こう
と伝えよう。いつまでも親は生きていない。親ではない人、特に専門家に頼ることこそ
が「自立」だ。
・息子がパソコンで「ひきこもり当事者の話」を視聴した。母親は「息子にとっての進歩」
と思った。
・母親の運転する車で、遠くのスーパーまで行っていたが、母親が入院することになり、
その間に息子は、近くのスーパーで買い物をするようになった。母と祖父の欲しいもの
も買ってきてくれるようになった。自分の欲しいものは自分のお金で、それ以外は母か
らのお金で買い、買い物後はレシートとお釣りも母に渡している。
↓
困った事態に直面し、「知り合いに会うかもしれないから嫌だ」と避けていた近所の
スーパーに行けるようになっていた。母親の入院は喜ばしいことではないが、やはり
「困った!どうしたらよいのか」と息子が自分で考える良い機会になったようだ。
・一人暮らしの息子は、月一回一人で通院している。最近は、絵をSNSに挙げて「いいね」
をもらうのがとても嬉しいようだ。オフ会が開かれる東京へも一人で行った。好きなこ
とのために電車に乗ることはできる。しかし、ゴミ出し、買い物、ネットで買った物の
受け取りはできず、母親を呼びつけている。母親はお金も渡している。
↓
一人暮らしとはいえ、母親の実家で暮らしているのだし、障害年金ももらっているので
母親は息子にお金を渡してはいけない。今ある自分のお金で生活する方法を考えさせよ
う。

9月17日 家族交流会
・一人暮らしをしている息子が、一か月に一度、うちにやってくる。明るい表情である。
オレンジの会のB型事業所で毎日働いている。母親としては、障害者枠の就職より、
ずっとオレンジの会で働いてほしいと思っている。もちろん本人が決めることである
が、障害者枠で採用されて、精神障害に理解のある人たちに囲まれたとしても、やはり
時々は、一般の人々をイライラさせてしまうのだろうと思うと、いたたまれない。
↓
オレンジの会のB型事業所では、長期的に利用し続けても生活が成り立つぐらいの工賃が
支払えることを目指している。それが実現したら、就職することに対して不安を感じて
いる人も、就職することなく生活を少し豊かにし、楽しめるようになる。
・一人暮らしをしている息子は、最近、絵を描くことに熱中している。司法書士のネット
授業も受けている。病院にも一人で行っている。同じ病院に、母親も通い、医者から
息子の診察時のことを聞いている。
安定している親子に見えるが、息子は自分の思い通りにならなかった時や、母親が自分
の思った通りに動かなかった時は、一時間くらい怒り続ける。毎日、夜、息子に電話
しているが、その時も2時間くらいしゃべり続けるときがある。
↓
ものすごくしゃべるので困っている、と母親は医者に話そう。たくさん話すから明るく
て良くなっている、とは限らない。躁状態なのかもしれない。躁うつ病の人が、
「うつ」だけの薬を飲み続けるのは危険な場合もある。
・夫婦二人で、色々なクリニックを訪れている。その中で、訪問看護をしてくれる精神科
専門のクリニックに出会った。母親は「クリニックで話をして楽になったよ。訪問看護
もあるよ。」と息子に話したら、興味をもってくれた。しかし、一度はクリニックに
行かないといけない。そのことをどう伝えればいいのだろう。
↓
「一度はクリニックに出向かないといけない」とストレートに伝えよう。
・精神障害者手帳1級を取得した息子は、すぐにネットで障害者枠の就職先を探し始めた。
↓
B型事業所に最低でも一年間は通所することで、自立した生活リズムが徐々に確立されて
いくと思う。自立した生活リズムが整った上で、B型事業所の職員に就職希望の意思を
伝え、本人に合った就職先を一緒に探してもらうと良いでしょう。
B型事業所での「訓練」も大事だが、日常生活での「自立に向けた訓練」もしよう。
B型事業所に通っている間に、自分のことは自分でする、というのが当たり前!に
しよう。
・一人暮らしをしている息子と母親は、毎日夜11時から、お互いの安否確認の電話を
している。母親は家族3人で住んでいるので、安否確認してもらう必要はないのだが、
電話してしまう。
↓
母親は「息子には『私』しかいない」と思い込んで、常に息子の相手をしているのでは
ないか。そうすると、ますます「母以外の人」と息子がつながる機会がなくなってしま
う。他とつながるためには、母親が息子の世話を焼くのをやめよう。息子が孤独に
なってしまうと思いがちだが、困ったら、息子はきっと何とかする方法を探す。息子が
自分で動いたり、考えたりする機会を奪ってはいけない。NPO法人や行政、医者に頼る
ことが大切と伝えよう。「自立」とは「孤独」ではなく、家族以外の人、または専門家
(たとえば、医者も心と体の専門家)に頼ることである。いろいろな人と関わり、生活
していくことが「自立」である。
・息子が、将来への不安からか、自分の体重を気にし始め、ダイエットを始めた。オンラ
インで、ひきこもり経験者の話も聞いていた。医者と、将来のお金に関する話もした
ようだ。両親が亡くなったら僕は生きる意味がない、とも言っている。良い機会なので
毎月の生活費、固定資産税など、お金に関することを書き出し、壁に貼っておいた。
↓
持ち家の一軒家にひとりで住んで、お金の管理、近所付き合い、毎日の生活は、ひきこ
もりの人にとって難しい。オレンジの会の施設に通い、一人暮らしをすることを考えよ
う。

8月20日 家族交流会
・一人暮らしをしている息子は、もうすぐ精神障害者手帳の更新時期だが、最近は落ち着
いているので、もしかしたら更新できないかもしれないと母親は心配している。
↓
心療内科で「できること」「良いこと」だけ話すと更新できないかもしれない。医者に
は、一番落ち込んでいる状態のことを話そう。
親から見て「良い状態になってきた」と思っても、一般の人には「なんか変な感じ」と
思われることの方が多い、ということも知っておこう。
この息子の場合も、大好きな熱帯魚の世話は完璧にでき、そこだけ見れば、もう大丈夫
なように思える。しかし、自分が頼んだ宅配の荷物を受け取れず、離れたところに住ん
でいる母親に、コンビニで受け取らせ、その荷物は息子専用のプラケースに入れて渡さ
なければならない。宅配の荷物以外にも、自分の手で触りたくない物が多いので、非常
に精密な作りのマジックハンドを使い、自分の部屋の「物の移動」を行っている。床に
落ちてしまったリモコンも触れないので、足の指で扱っている。これらの行動の理由は
「死なない菌があるから」と息子は言っている。
これらの行動は、どう考えても「安定した、落ち着いた、よいこと」ではないので、全
て、医者に話そう。
・子どもが生まれてから現在までの様子を記したものを「生育歴」と言い、障害年金受給
に必要なものである。「生育歴」を書こうとする場合、多くの親が「今はひきこもりだ
が、小さい頃は普通だった、よいこだった」と言う。しかし、家族会で話しているうち
に、「そういえば」と思い出すこともあるので、とにかくどんなことでも「言葉にする」
ことは大事である。
そして、子どもの「変わった言動」だけを思い出そうとするのではなく、「褒められた
こと」「すごい!天才」と周りに言われたことがないかも思い出そう。「天才的」とい
うことの中にこそ、発達障害の要素があることが多い。
例えば、「幼稚園児のころ、皆と遊ばず、ある映画のセリフをずっと一人で話し続けた」
というエピソードを家族会で話してくれた母親がいた。4歳の子が映画のセリフを丸
暗記するなんてすごい!と思うが、発達障害者には、見たものを写真のように記憶に
残せる人が多いので、神童と呼ばれることも多いのだ。
「食」にこだわりのある発達障害者も多い。毎日同じものを食べ続ける等、である。
周りからは、大好きなんだね、とほほえましく見られがちだが、「好きだからやるわけ
ではなく、やらなければならない」という感覚で行動しているので、本人は苦しんでい
ることもある。
↓
この「そればっかり」という行動は社会では通用しない。将来、一般企業で働きたい
場合は、障害者枠で応募し、自分の苦手なこと、こだわり、を面接できちんと説明でき
るとよい。
「生育歴」を書くのは、障害年金を取得するためであるが、社会へ出るために「自分を
知る」ことでもある。

4月23日 家族交流会
・息子が40歳になったことで、「子どもも親も歳を取っていくのだ」という実感が
強くなり、不安を募らせる毎日だ。来月、親戚の結婚式に父母二人で東京に出向くこと
になり、息子が「もし二人になにかあったら、どうしよう」と心配しているようだ。
↓
お互いに不安に思っているのなら、いい機会と考え、親が元気な今のうちに、息子に
伝えておきたいことを具体的に細かく紙に書き出し、話し合うのがよい。
例えば、親が亡くなった後も、現在、親とともに住んでいる持ち家に住み続けたいと
息子が思っていても、一人で持ち家の管理(税金、修理など)、家事全般(家電が壊れた
時の買い替え方も)、近所との付き合い(消防団、町内会)をするのは難しい。
親子ともに元気で動けるうちに、NPO法人オレンジの会の施設に見学に行けるとよい。
世帯を分け、名古屋で一人暮らしをして、NPO法人オレンジの会の施設に通うという
選択肢もあることを息子に伝えよう。
・息子が、精神科に行かなくなってしまった。いつもなら息子一人での診察後に主治医が
「お母さんも入って」と言うのだが、ある日「お母さんと代わって」と言ったことで
息子が診察室から出てしまったことが原因かもしれないと母親は思っている。
↓
次回予約日、息子に「あなたに一緒にいてほしいと私が思っているから、一緒に診察室
に入ろう」と言ってみてはどうか。
もし、息子が通院を嫌がっても、母親は通院し続けよう。
・通っていた精神科病院の担当医が開業することになり、通院が大変になった。自宅から
かなり遠いからだ。しかし、その医者を信頼している息子は、今までは母親が運転する
車での通院があたりまえになっていたが、母親の大変さをくみ取ってくれたようで、
自分一人で公共交通機関を利用して通院するようになった。
↓
この先、母親に「車で連れて行って」と頼むことがあるかもしれないが、連れて行って
あげてはいけない。もし調子が悪く、予約日に一人で公共交通機関に乗れない場合は、
自分でクリニックに電話で報告し、予約日の変更をすることが大事だ。
5月22日 家族交流会
・息子が、破れた靴下をはいている。新しい靴下を買ってあげたい。
↓
本人にルール(例えば、もう少し穴が大きくなったら、など)がある場合もあるので
そのままにしておこう。母親が買ってあげてはいけない。
・息子が、NPO法人仕事工房ポポロとのズームに興味をもった。家族以外と話したくなっ
たのかもしれない。外に目がいくのは良いことだ。
・息子は、週3回、内職をしている。仕事をもらってくるのは、母親だ。洗濯、買物は
してくれるが、こだわりがあり、大変である。匂いにとても敏感で、ガスコンロが気に
なると言い続けたため、ガスコンロを買い替えたこともある。
しかし、「ひきこもりだった人が、オレンジの会の支援を受けて、一人暮らしをしてい
る」という話を聞き、希望をもてた。
・息子は、大学途中からひきこもり、4年半がたった。傾倒している著者の本を読み
続けている。
↓
まずは、精神科を受診できるとよい。「困っている」「悩んでいる」ようなら、
クリニックに誘うチャンスである。本人を追い詰めるのはやめ、まず、受け入れよう。
・息子が3月から、B型事業所で働いている。朝、起きられないときがある。
↓
スマホを使い、自分で起きられるとよい。母親が起こしてはいけない。遅れそうな場合、
連絡を入れる等の対応をすればよいことを伝えよう。
・息子は、母親の実家で一人暮らしをしている。イラストを描くのが好きで、SNSで
「いいね」をもらうのが嬉しいようだ。そのオフ会には、行くことができる。しかし、
資格の勉強はしなくなっている。
息子の通帳は、母親が管理している。「お金がほしい」と言われたときに、母親が
お金をおろし、息子に渡している。
↓
お金のない状態にしよう。障害年金だけでは生活が苦しいようなら、足りない分を
なんとかしようと思わせないといけない。通帳は本人に管理させ、使ったら減っていく
ことを認識してもらおう。
・娘が障害者枠で就職したが、休職することになった。「辞めたい」と言っていたが、
会社の保健師さんが「皆が待っているから来て」と言ってくれたことにより、復帰
できた。現在はリハビリ出勤期間である。(短時間勤務)
↓
障害者枠での就職はメリットしかない。
例えば、クリニックに通う日は休める。(通院は障害者手帳継続のために必要)
本人の特性に合わせた配慮もしてもらえる。など。

6月19日 家族交流会
・一人暮らしをしている息子は、ネットでの買い物を自分で受け取らずに、母親を呼び
つけて受け取らせている。
↓
「腰が痛い」等、理由を付けて、息子の家に行かないようにしよう。自分で受け取らせ
よう。
・息子はこの3週間くらい、母親相手によく話をする。「痩せたい」「僕はうつ病だが、
発達障害もあるかも」など。とにかくものすごく沢山話すので、聞くのが大変な時も
ある。
↓
聞くのがあまりにも大変な時は、時間を決めて聞く、というのが良い。
・祖母の一周忌法要後の会食に、息子が参加できた。親戚の人にお酒を勧められて飲んだ
り、弟と話もできたりした。母親としては、一か月に一回くらいの割合で、祖父・息子・
母親の3人で外食できないかと考えている。
↓
「母の願い」としてではなく、「おじいさんが一緒に飲みたいと言ってるよ」と誘って
みよう。
・B型事業所に4月から通っている。月一回クリニックに通院するようになり、「精神障
害者手帳をもらったら、障害者枠で働きたい」と言うようになった。そのクリニックで、
息子が、初めて自分から医者に話をしたいと言い出した。その話とは、
B型事業所のホワイトボードに個人の仕事実績を毎日書かれている。僕はいつも
1位。それを見た年下の子に「ぼくのような年下に勝ってうれしいですか」と
言われた。その言葉がとても嫌だったので、所長さんに「僕の仕事実績をホワイ
トボードに書かないでほしい」と言った。その後は、書かれなくなった。
↓
自分で医者に、自分の状況を話せるのは大切。これからも、困ったことは、どんどん
話せると良い。
・息子は、ガムテープで窓に目張りをしている。母親の部屋にも目張りをしているが、こ
れからの暑い時期にどうすればいいのか、わからない。
↓
「暑いから、目張りを取って窓を開けたい」と言って、開けよう。母自身の部屋なの
だから。または、「暑いから眠れない。エアコンのある部屋に行く」と言おう。その
とき、息子にもどうするか、聞いてみよう。息子も暑いはず。
なぜ「目張り」をしているのだろう。ほこりを排除するために、今できることは
「目張り」くらいしか思いつかないからかも。何かにもやもやしていて、苦しいのかも。
↓
「困ってない?苦しくない?」と息子に聞いてみよう。「辛いなら、医者に行こう。
専門家に聞いてもらおう」と誘ってみよう。「変だから医者に行こう」ではいけない。
本人が医者に行くのを嫌がっても、まずは、親が診察券を作って家族相談として、受診
してみるのが良い。
相性がいい医者に出会うまで根気よく、探してみよう。

7月16日 家族交流会
・精神科の初診から1年半が経ち、息子の障害年金受給申請ができるようになった。
↓
申請は、社会保険労務士にお願いしよう。面談時には、子どもの「生育歴」のコピーを
持参しお渡しすることが望ましい。「生育歴」とは、子どもが生まれてから現在までの
様子を書いたもの。詳細であればあるほど良い。
・息子がガムテープを、家の1階だけではなく、2階の窓にも貼りだした。理由は、ほこ
りが入ってくるからだという。
↓
母親は「困ってることや、苦しいことはないか」と聞いてみよう。もし、「困っている
又は苦しい」というようなことを本人が答えたら、病院へ誘ってみよう。
・息子が部屋の照明の明度をかなり暗くしてしまい、親が困っている。
↓
「私たちは老眼だから、明るくしたい。嫌だったら、アパートを借りて一人暮らしを
してみてはどうか」と提案しよう。息子中心に考えるのではなく、父母を中心に考えよ
う。父母の家なのだから。
・息子は病院に行かないが、父母は、一か月で4つの病院に行ってみた。自分たちに
合いそうなところ、なんだか嫌な感じのところ、など、色々あることがわかった。
↓
息子のために病院を巡っているのではなく、自分たちのためにする!という考え方を
しよう。息子の行為のせいで困っていることや、苦しい胸の内を医者に話そう。
父母が、自分たち自身のために行動しつづけると、父母の表情が変わってくるはず。
親が変わると、子どもも変わってくる。
・B型事業所に今年4月から通っている息子は、少し前までは父に送迎してもらっていた
が、現在は自分で運転していけるようになった。しかし、朝は自分で起きれないので、
母親に起こしてもらっている。お弁当も母親が作っている。
↓
朝、起きれないのなら、どうすればいいのか自分で考えてもらおう。スマホのアラーム
機能や目覚まし時計を使う、など。もし、朝、起きることができずに遅刻しそうなら、
B型事業所に連絡する、ということができるようになる、ということが一番大切。
お弁当も自分で作らせよう。材料も自分で買えるようになるとさらに良い。おかずを
作るのは大変だと思ったら、大きなおにぎり3個などでもよい。自分で考えて、自分に
できることから始めよう。自分の食べるものを、自分で作ることは「自立」につながる。
・母親がやらなくても父親が、息子の世話を色々やいてしまう。例えば、お弁当を作って
あげる、欲しいものを買ってあげる、など。父親は、息子に「やってあげたい」
↓
「息子の自立を妨げる行動だから、やめよう」と母親は父親に、はっきり言おう。
自分の夫に意見を言いにくい場合もあるとは思うが、何もかもやってあげることは
息子のためにならない。父母が亡くなった時、自力では全く何も判断して決めることが
出来ず行動にも移せない息子ひとりが残されることになる。ひとりになったら頑張って
何でもできるようになるだろう、というのは、発達障害の人には当てはまらない。
・B型事業所に通いはじめて4か月たった息子は、ネットで障害者枠の就活を始めた。
↓
現在、B型事業所に通っているので、職員との面談で、まずは、自分の希望を話そう。
B型事業所で「生活面も含め力がついいてきたからそろそろ就活を始めてもいいかな」と
判断してもらってから就活したほうが良い。「どう成長していったのか、今作業所では
何がどのように出来ているのか」を記した紹介状も書いてもらえる。
